佐敷町文化協会文化部(真栄城勇部長)では俳句教室を開いて、俳句の指導を行なっています。講師は沖縄俳句協会の幹部、瀬底月城、山城青尚の両氏で月一回の楽しい例会を開いています。
今月から例会の作品より四、五句を選び広報に掲載する事にしました。
なお、俳句教室は毎月第四水曜日の午後7時から町文化センター二階会議室で例会を開いています(都合で変更する事もあります)。
俳句教室では町民の参加を呼びかけています。問い合わせは、佐敷町教育委員会 社会教育課・津波悟まで、TEL947-1619
馬頭琴の調べに酔へり天の川 山城百合子
(評) 万葉集や古今集にも詠まれている天の川が、きらきらと降り注いでいる広大なモンゴルの大草原に、二弦楽器である馬頭琴の音が朗々と流れている。うっとりとして幽玄の世界に引き込まれている作者の体験句。
飛行機のゆらりと渡る天の川 渡真利春佳
(評) 澄み渡った夜空に無数の星をちりばめた天の川に、作者の眼が次第に引きつけられた。その美しい星空に向かって飛行機が、ゆっくりと夢の旅をたのしんでいるように見える。飛行機をとおして天の川と作者は具象的に一体となって描かれている。
妖怪日素焼の獅子を塀風に 新垣 春子
(評) 旧暦8月11日はヨーカ日である。妖怪や死者の霊が入里にやって来るとして、爆竹を鳴らして悪霊を追払う習慣がある。また民家では、素焼の魔除け獅子がヒンプンに鎮座して、悪霊の侵入を防いでいる情景がみられる。
開発に揺れる山々鷹渡る 与那嶺末子
(評) 寒露の頃になると南方へ渡る鷹の群が、沖縄、とくに宮古島に飛来し翼を休める。しかし近年では、山地開発のため環境が悪くなり、渡り鳥の数が激減している。自然保護か開発かで世論がゆれている中、秋の風物詩である鷹の渡りがいつまでも見られるようにと願っている。
十年の計たて拾ふ黒木の実 前城 守人
(評)「一年の計は穀物を植えるにあり、十年の計は木を植えるにあり、百年の計は人をつくる(教育)にあり」という格言に従って、十年の計をたてるため黒木の実を拾ったという心象句。
以上9月の俳句教室より 山城青尚 選