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ふるさと創生講演会開催 米倉斉加年氏大いに語る

「芸術が人間に生きる力を与えるんですよ」テレビなどでおなじみの語り口で、つめかけた聴衆は人生を問いかけられました。
南部広域市町村圏事務組合の主催による「ふるさと創生講演会」が六月二十九日夜、町文化センター・シュガーホールで行なわれました。
講師に立った役者で演出者でもある米倉斉加年氏は、“私のメルヘン”、と題して氏の芸術観や人生観にふれながら、約一時間半にわたってしみじみと聴衆に語りかげました。
講話の内容は、役者として演劇をひとすじに追求してきた米倉氏にふさわしく、社会の既成概念や偏見にとらわれずに自分の感性で生きていく「本物の生き方」を求める心が基調となっているようでした。
氏は「目の見えない人の世界と私達が目を閉じている状態とは全然ちがう。彼らは目で見ないかわりに、手で触れ、耳で聴き、鼻でにおいをかぐことによって私達よりはるかに深く物を本質的に理解することができる」と語り、身体の不自由な方への真の理解と、差別や偏見のない社会の実現を呼びかけていました。
また、氏の祖母のたくましい生き方を例にして、教育をうけていない素適さを説きながら、今日の学歴社会や学校教育を批判する一幕もありました。
講演を聴き終えたある三十代の男性は、「自分が日頃いかにいいかげんな物の見方をしているか身につまされた。もっときちんと生きていかなければ」と感慨深げに語り、シュガーホールを後にしました。

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大分類 テキスト
資料コード 008447
内容コード G000000652-0006
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第205号(1994年8月)
ページ 6
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1994/08/10
公開日 2023/12/05