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音楽へのいざない② 陽気なフランスの仲間たち 六月のシュガーホール シュガーホール芸術監督 中村透

6月26日には、フランス人を中心とした世界的な室内オーケストラ、パイヤール室内管弦楽団が、総勢21名で、この佐敷を訪れます。音楽ファンなら誰でも知っているパイヤール…というのは、このオーケストラ1953年の創設という老舗であるばかりでなく、この間300を超えるディスク(レコード・CD)で600万枚以上の売上を記録するほどの売れっ子なのです。
団を率いるジャン・フランソワ・パイヤールは、指揮者としてばかりでなく、忘れ去られたバロック時代の傑作を数多く発掘した人物としても知られ、随想のほか、科学の学位も持ち、今は天体物理学に熱中しているとのこと。どういうわけか、欧米の音楽家には、音楽のほかの分野でも傑出した人材であることが多いのです。
独奏者として一緒に来るハープの吉野直子さんは、十七歳で国際コンクールに優勝し、以来世界中のオーケストラに招かれています。とても小柄でチャーミングな女性ですが、一旦ハープに向うと、素晴らしい気迫と緊張感で音楽を奏で始め、とても大きくみえます。少女時代から英国で修業した国際性と、大和なでしこの優雅さをあわせもった方といえましょうか。フルートの工藤重典さんは、仏語がペラペラの陽気な人物。というのも、フランスの有名なフルーティスト、J・ピエール・ウンパルの最も愛した弟子の一人なのです。
この二人がパイヤールと一緒になって奏でるモーツアルトは、きっと天国の彼方からの奏楽のようにシュガーホールを満たしてくれることでしょう。
なにせ、どこまでも明るく陽気なラテン系の仲間たちのことですから。
(琉球大学教授)

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大分類 テキスト
資料コード 008447
内容コード G000000650-0003
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第203号(1994年6月)
ページ 5
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1994/06/10
公開日 2023/12/05