町文化センター・プレオープン事業の一環として、シュガーホール・レクチャーコンサートが、町文化センター自主事業実行委員会の主催で、五月十四日夜、同ホールで行なわれました。
「弦と笛とピアノのひびき」と題して開催された同コンサートは、ヴァイオリン、フルート、ピアノ等それぞれの楽器の魅力を、語りと演奏で紹介するかたちで行なわれ、一流のすばらしい演奏に、つめかけた600人近くのファンは、音楽の奥の深さを改ためて感じさせられた様子でした。
午後七時の開演で、まず元NHK音楽番組チーフディレクターの大塚修造氏による「音楽と自然」をテーマにしたおだやかな語りかけで始まりました。サトウキビ畑と海に囲まれたシュガーホールに寄せる熱い想いや、音楽にふれあうことのすばらしさなどの語りは、続いて行なわれた演奏にスムーズに導いてくれました。
赤いドレスに身をつつんだピアニスト三木香代さんの登場で始まった第一部の演奏では、叙情豊かなピアノの世界が展開されました。
演奏されたのは、「別れの曲」「幻想即興曲」「小犬のワルツ」で、いずれも世界の名曲。ショパンコンクール入賞の実績の演奏に、思わず客席からため息がもれました。
演奏の合間には、大塚氏のインタビユーで、楽器と奏法の基本的な仕組が紹介され、全部の鍵盤を目にも止まらぬ指の動きで打ったり、ペダルを使った時と使わない時のニュアンスの違いを実演で比べたりと、めったにお目にかかれない光景がみられました。
「赤とんぼ」「七つの子」で始まった第二部では、NHK交響楽団員の菅原潤さんのフルートとピッコロの素朴で、すみきった音色が響きました。「宵待草」「ポルカ」「しろつぐみ」「メヌエット」「浜辺の歌」なども演奏され、くつろいだ雰囲気が広がっていました。
合間のインタビユーでは、高度なテクニックを要求する作曲家に対する苦労話なども聞かれました。
同時に二つの音を出す実験や、小学生が授業で使うリコーダーで沖縄の曲を吹いたりと、趣向を凝らした内容になっていました。
第三部では、NHK交響楽団員の永峰高志さんの演奏でヴァイオリンの世界が紹介され、ここでは、ヴァイオリンの四つの弦の説明などを、バッハの「G線上のアリア」で印象的な解説がなされました。
演奏された曲は、タイスの「瞑想曲」、「愛のあいさつ」「チゴイネルワイゼン」の三曲。いずれも、高度で熱のこもった演奏を聞かせてくれました。
全三部の演奏を聴いた観客は、感動を押えきれないように盛んな拍手でアンコール。それに応えて、「てぃんさぐの花」が奏でられると、さらに大きな拍手が場内に響きわたりました。
コンサート終了後、四人の出演者を囲んで懇親会が開かれ、コンサートを主催した文化センター自主事業実行委員会の皆さん、場内整理や楽屋裏の仕事を一手にひきうけたカノンの会、町内の女性コーラス・ウイングスのメンバーの皆さんとのなごやかな歓談が交わされました。
席上、大塚氏は、ホール全体がひとつの楽器であるというとらえ方を強調し、シュガーホールの素晴しさをたたえると同時に、今後の運営と、それによる地域の活性化に期待を寄せていました。演奏家の皆さんも、「ぜひもう1度演奏に来たい」「すばらしい響きです」とシュガーホールの印象を話していました。