自然・環境にやさしい行政を 共同防除協議会で決定
サトウキビ作は本町の基幹産業であり、害虫駆除対策もさまざまに行われて来ました。
その一つであるヘリコプターによるガイダー防除のための農薬空中散布が、自然への影響に配慮し、今回より中止となりました。
佐敷町共同防除協議会(会長・津波元徳町長)では4月11日、緊急会議を開き、ヘリコプターによる航空防除に関する問題を討議しました。その結果、今回より同防除を中止することを決定しました。
航空防除は、サトウキビの害虫であるガイダー(カンシャコバネナガカメムシ)の駆除を目的としてヘリコプターから地上に農薬を散布するもので、佐敷町では昭和五十年から毎年一回、農家の皆さんと協力し、実施してきました。
しかし近年、町内はもとより各方面から人体や環境への悪影響を心配する声が高まっており、県内でも糸満市と、東風平町が今年中止を決定するなど全体的に中止の方向に進んできています。
このような流れの中で町では、航空防除をみなおす時期にきているのではないかと判断し、緊急に会議を召集し慎重に検討しました。
サトウキビ作農家の皆さんの根強い要望はあるものの、人体・環境への配慮を最優先すべきであるとして、ヘリコプターによる空中からの農薬散布を中止し、今後の防除は農家個人の手による地上散布に切り替えることを決定しました。
これまでも人体への安全性は確認されており、実施に際しても十分に慎重を期していました。しかし、人間以外の小動物や植物などの生態系に及ぼす影響など、環境全体をとらえる視点からの悪影響はたびたび指摘されており、今回の決定は、それに応える形となりました。
津波町長は、「これまでも、特に学校や保育所に通う子供たちに与える影響がとても気になっていた。サトウキビ作農家の皆さんには労力面で負担が増え、ご苦労おかけすることになりますが、私たちの子や孫にこれ以上汚れた環境を残すことはできないという気持ちは私たち町民の一致した認識であると思います。サトウキビ作農家の皆さんにはこの点、十分ご理解いただき、環境に優しい佐敷町をみんなで作っていきたいと思っています」と今回の決定のいきさつとサトウキビ作農家の皆さんへ理解を呼び掛けています。
また、佐久川経済課長は、「今回の空中散布中止を機会に動植物保護、ゴミ問題、海や河川の汚染、さらに一歩進めて農薬をできるだけ使用しない農業の模索などこれまで以上に真剣に考えなおす時期にきているのではないかと思っています」と話していました。
なお今後は、農家個人による地上散布になるわけですが、町では、実施時期や農薬の量や保護具などは、示された基準をよく守り、くれぐれも事故のないように気をつけて実施してくださいとのことでした。
共同防除協議会の構成
市町村役場 区長会 製糖会社農協 農業改良普及所などで構成され、主にサトウキビに対する害虫や野ネズミの駆除のあり方などを検討する組織。通常、市町村長が会長を務めます。
「ガイダー」とは
学名カンシャコバネナガカメムシ。形はホタルに似ており、赤茶色をしています。幼虫はサトウキビの茎から吸汁し、多く発生するとサトウキビの減収につながり、サトウキビにとって最大の害虫であるといえます。
農家の皆さまへ
スミチオン微粒剤の散布に際しては、保護具を必ず使用し、散布マニアルにしたがってください。
【保護マスク】農薬専用のマスクで顔に密着性のよいもの。ガーゼやタオルなどによる代用は事故のもととなります。
【保護メガネ】目の保護に欠かせないのが、保護メガネ。おすすめは顔に密着するゴーグル型です。
【保護衣】散布作業には防水性のある素材の服が必要です。炎天下の作業が多く、厳しいものとなりますが、条件に応じて涼しく着られる工夫をしてください。
【ゴム手袋】乳剤や水和剤の調合に欠かせないのが、ゴム製の手袋です。また、粒剤の手まきには、うす手のゴム手袋が便利です。
【保護クリーム】農薬にかぶれやすい人の必需品がこのクリームです。作業前に、顔、首すじ、手首など、かぶれやすい個所にていねいに塗ってください。化粧用クリームは代用できません。
【帽子・たれ布】一般には、麦ワラ帽子が涼しく、これに、首すじや肩、顔の部分が適度にかくれるようにたれ布を付けてください。
【網シャツなど】涼しく、汗でベトつかず、ぬれた保護衣が肌につくのをふせいでくれます。見えない味方といえます。
▽お問い合わせは、町役場経済課(947)6464