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掘り起こそう郷土の歴史と文化 「よりやげの根国」シンポジウム開催

よりやげの根国シンポジウム(主催 佐敷町 町教育委員会 町文化協会)が3月27日午後、町老人福祉センターで150人の参加を得て行なわれました。
尚巴志王生誕の地として、また第一尚氏発祥の地として広く知られている私たちの町・佐敷。琉球歴史の中でも特筆される十四世紀から十五世紀へかけての大交易時代に、佐敷はどのような役目を果たしたのだろうか。今回のシンポジウムは、テーマを「大交易時代に佐敷が果たした役割」とし、最初に、宮城鷹夫氏(町文化協会会長)による基調講演が行なわれました。
パネルディスカッションでは、大城學氏(県教育庁文化課主任専門員)をコーディネーターに、宜保榮治郎氏(県立博物館館長)が民俗と芸能、當眞嗣一氏(県立博物館主幹)が歴史と考古、新垣源勇氏(知念村文化財保護審議会会長)が祭祀と門中、上田不二夫氏(沖縄水産高校教諭)が地域と海、真栄城勇氏(町文化財保護委員会会長)が民話と生活、平良永信氏(佐敷小学校校長)が郷士文化と教育について、それぞれの専門的立場で論議を深めていました。
宜保氏は、佐敷の場合、山北、山南、宮古、八重山に比べれば比較的民俗のある地域であるが、これまで掘り起こしがなされていないため不確かな面が多いと指摘、今後は、その掘り起こしを積極的に行なう事によって佐敷地域の歴史の空白を埋めることができると述べていました。また、芸能は、常に庶民の手によって生産されるものである。佐敷地域にも豊富な芸能、歌と踊りが伝承されており、今後、民俗芸能を継承していくのは学校の協力が必要と語り、自信と誇りをもって子孫に民俗芸能を伝えてほしいと強調していました。
真栄城氏は、民話は歴史書の中に書かれているものもあれば、同じ話が地域で語り継れているものもあり、内容が若干違う場合があるが民話にはロマンも秘めていると話していました。
最後に大城氏は、真の国際人とは、目分達の歴史や文化について理解して、それを他国の人、あるいは他地域の人に伝えることができる人をいう。佐敷の自然、文化、歴史をもう一度見つめ直し、後生に伝えていこうと結んでいました。

基調報告「大交易時代に佐敷が果たした役割」
佐敷町文化協会長 宮城鷹夫氏
屏風のような山並に囲まれた海岸低地帯は肥沃な土壌をつくリ出し、波静かな馬天の海と連なって 人びとの生活を豊かにした佐敷。歴史的背景はどうであっただろう。第一尚氏の本拠地であった佐敷には関連するオモロが約三十種もあり、常に尊崇されてきた。オモロは佐敷の土地や人物を賛美した内容か多く、佐敷が古くから栄え、にぎわったことがわかる。
馬天の海と文化について考えてみると、馬天の海は私達の生活と大きなかかわりをもっている。 尚巴志王が大和船から鉄を仕入れ、それを農具にして百姓に配り、百姓達の民心を集め、更に中国や日本との交易の拠点としたのも馬天の海である。
佐敷上城は、15世紀初頭に第一尚氏か城を築き、異国船などとの交易を盛んにしつつ、琉球統一国家の礎を固めたところであり、沖縄の大交易を進める上で重要な地でもあった。
先史時代の遺跡はまだ発見されていないが、佐敷上原のイリジョーガマや手登根上原のフナクブアカバンタなど多くの謎を秘めた場所か多い。馬天の海か果たした役割もこれからもっと極められるだろう。私達は、これからも更に研究を深めながら、佐敷の歴史、文化、自然について、子子孫孫に正しく伝えなければならないだろう。

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大分類 テキスト
資料コード 008447
内容コード G000000648-0010
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第201号(1994年4月)
ページ 7
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1994/04/10
公開日 2023/12/05