なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

見て、ふれて感じる平和の尊さ 平和体験学習で壕内を見学

百聞は一見にしかず―。宿泊平和体験学習(主催・町青少年育成協議会)が3月12日から一泊二日の日程で、町内の小・中学生20人が参加して行なわれました。
戦跡地巡りや資料を通して、沖縄戦について学ぼうと、南風原町文化センターで展示資料を見学後、早速、南風原陸軍病院壕と糸数壕へ。案内役は、吉浜忍泊高校教諭。
全員が壕に足をふみ入れ、当時の生活用品にふれ吉浜氏の細かい説明に聞き入っていました。吉浜氏は「糸数壕では、沖縄戦の状態をそっくり体験できるので、一冊の本を読むより糸数壕に入った方がいい」と話していました。
糸数壕では、49年前の壕内の模様にふれようと、一分間、明かりを消すと、「こわーい」と悲鳴にちかいどよめきが起きました。暗やみの中に、しずくの音だけが響く静寂の世界は、参加者に当時の悲惨な状況を実体験させるものとなっていました。
 平和祈念塔では、参加者を代表して新垣涼香さんが平和宣言文を読み上げ、津波辰徳君が折り鶴を寄贈しました。夜は、宮良ルリ先生(元ひめゆり学徒隊)を招いての戦争体験講話が行なわれました。

参加者の声
「暗闇の中で」佐敷小六年 平良元
「暗い」。 「見えない」。と、申に入っていくうちに声が聞こえてきました。今、糸数壕の中に入って、吉浜先生の説明を聞き終えたところです。その後、戦争当時の様子を知ろうと、みんなで一斉に懐中電灯を消しました。その時、真っ暗になりなにも見えなくなりました。そして、ぼくは目をつぶり、うめき声を想像しました。それは、真っ暗な中で次々に患者が運ばれて、うめき声がうるさく聞こえ、とてもその場所に立っていられる状態ではないような気がしました。
糸数壕には、当時使っていたおわんやくぎなどがゴロゴロしていました。もしかすると、ぼくが立っている所にも骨がうまっているのかもしれないと思いました。
ぼくは、この糸数壕に入ってとても貴重な体験をしました。そして、もう二度と戦争をしてはならないと強く思いました。この体験を友達にも教えてあげ、これからの暮らしの中に、もっともっと生かしていきたいと思います。

「戦争は恐ろしい」馬天小五年 高良ひかる
私は、戦争の恐ろしさを知るために「宿泊車和体験学習」に参加しました。その申でも、心に残ったのは、壕の中の探検でした。南風原陸軍病院壕と糸数壕へ入りました。暗くてひんやりした中で、当時の様子を聞きました。もし私が看護婦さんだったら、逃げていたことでしよう。
戦争の恐ろしさを知って、私は平和の尊さを知りました。
戦争の恐ろしさを知って、私は人の命がなによりも大切なことを知りました。

「平和に感謝」佐敷中二年 運天智美
1・2・3はい、電灯を消して下さい」。先生の一声で、糸数壕の中は暗やみになりました。隣りにいる友達の顔も見えません。
みんなの息づかいと“ピチョンピチョン”という水の音がするだけでした。
こんな暗やみの中で、49年前、私と同じ年頃の女の子が働いていたのかと思うと、身の毛がよだってきました。
少女達は、何を思い、何を考えながら過ごしたのでしょうか。
今、私達が平和でいられるのは彼女達のお陰ではないでしょうか。戦争は二度と起こしてはならないと、今日の体験学習に参加して思いました。

ダウンロード
大分類 テキスト
資料コード 008447
内容コード G000000648-0009
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第201号(1994年4月)
ページ 6
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1994/04/10
公開日 2023/12/05