なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

家庭、地域の力が子どもの未来に

学対実践研究の具体的内容と成果
平成四年度の「学対取り組み」は、父母や地域の皆さん、学校の先生方の献身的な協力と指導で計画通り順調に事業が展開され、大きな成果を上げ新年度を迎えようとしています。
本町の学力向上対策は、県より「地域指定」を受けており、その取り組みは地域における活動に最大の意義とねらいがおかれ、特に家庭教育部会、地域教育部会に力が入れられました。以下は、学対で取り組まれた実践研究の具体的内容と若干の成果報告です。

幼・小・中学校校内研修の具体的取り組み
▽佐敷幼稚園
基本的生活習慣の具体的指導(あいさつの実践 聞く態度の実践)
基本的生活習慣を育てるための環境づくり(事例=かめのお家づくり 椅子取りゲーム カバマダラと関わって)
基本的生活習慣を育てるための家庭との連携

▽佐敷小学校
国語科研究班と算数科研究班を組織
個に応じた指導の展開(指導過程の研究と実践=個々の児童の実態を把握し、個に応じた授業の設計・個々の児童が学習する内容を明確にし、自力解決や級友とともに練り合う授業の設計)
「個に応じた指導」の手だてと実践(座席表〈思考分析表〉の活用・ヒントカードの工夫と活用・ノートワークシートの工夫と活用・算数カルテの工夫と活用)
読解力を高める工夫と実践(音読、朗読の奨励〈金、銀、銅賞の設定 校内放送で雰囲気づくり〉 漢字力向上の取り組み〈学期毎に漢字力テストを実施し、賞を与えて認め、励ます〉)
・佐敷っ子タイムの活用
・読書活動の充実

▽馬天小学校
国語科研究班と算数科研究班を組織
《国語科研究班》
豊かな読みの力を育てる授業設計(基礎・基本を大事にした教材分析「記号づけ」による読みの工夫 豊かな読みの力を育てる指導過程の工夫)
《算数科研究班》
事前指導の徹底(進級テスト・診断テスト〈既習の基礎・基本〉 個別学習) 指導過程の工夫 単元の終末に達成度差による習熟度学習(総括的評価・個別学習)
・チャレンジタイムの実施
・進級テストの活用
・チェックカードの工夫と改善
・読書活動の充実

▽佐敷中学校
個人差に応じた指導法の工夫と改善(生徒の実態把握=諸テスト・諸検査 形成評価〈進級テスト〉学年、学級経営の充実 朝の活動の充実と強化=読書活動の取り組み〈読書活動カードの工夫と活用、個人用ファイルの活用 点検と表彰 「学級評価のめやす」作成〉)

▽学校教育部会
幼・小・中連携合同授業研究会
各種主任連絡会

▽家庭教育部会
基本的生活習慣に関わる「学対意識調査」 (集計・分析・考察)
教育講演会

▽地域教育部会
町民の意識の拡大・啓発をめざした「立て看板・垂れ幕」の製作、設置
6:30運動の展開
夜間パトロール

▽PTA学対部(馬天小PTA)
《朝読み・夕読みの奨励》
全父母、全先生方の指導と相互、協力による毎日のチエック
月毎に集計
コンピュータによる追跡データ
学期毎に優秀児童を児童朝会の場で皆の前で紹介し、表影

実践研究の成果
▽幼・小・中校校内研修
校内研修の協力体制が整い、優れた成果を得た 
「わかる授業づくり」に向けて先生方の創意工夫がみられ、活き活きとした授業展開がなされた 
指導案が緻密で、単元の指導・学習内容等の見通しが明確となった。また、「基礎・基基本事項」が明記されていて、理解が十分でない子どもたちへの配慮が適切になされた
指導前の診断テストを常に実施し、子どもたち一人ひとりの実態把握がなされていて授業に生かされている 
ヒントカードやチェックカード等教材や教具の工夫が行なわれ、「個人差に合った指導」「個に応じた指導」への配慮がなされた 
授業をうまくのせるための「整備機能」、とりわけ、学級経営が立派で先生方の熱意と創意工夫がみられた=教室環境の整備 
教師・児童生徒間及び児童生徒相互の人間関係ができている 
授業に活気がみられる

▽学校教育部会
幼・小・中連携合同授業研究会=先生方に主旨を理解していただき大勢の参加を得た 
時間の設定に苦慮したが、一応の成果を見、所期の目的を達成できた

▽家庭・地域教育部会
立て看板、ステッカーの「標語募集」に対し多くの父母より応募を受け、「学対」への理解と賛同を得た
「意調査の集計・分析・考察と標語の審査に多くの部員や先生方、延べ50余名の協力を得た
「立て看板づくり」に単位PTAの役員・各字の支部長、区長、町子ども会の育成者、そして、先生方延べ40余名の協力を得た
学対に対する町民の意識の拡大を図るための環境整備が幾分整い、今後の取り組みに良い結果が期待される
「学対に対する父母の意識調査」を実施したことにより、父母の考えを大方知ることができた

課 題
▽校内研修について
「わかる授業づくり」に向けてのなお一層の工夫
・指導過程と指導形態
・形成評価の実施と対応
・授業形態の工夫(教師中心から子ども中心への転換)

▽幼・小・中連携合同授業研究会(学校教育部会)
全先生方の参加を期待
時間の設定を考慮し、授業研究会の深化を図る

▽家庭教育部会
基本的生活習慣の徹底よびかけと実態把握
父母はもとより町民への協力要請
PTA役員及び支部長さん方との連携強化
地域教育部会との連携強化

▽地域教育部会
各支部での地域懇談会の実全実施
PTA役員及び支部長さん方との連携強化
家庭教育部会との連携強化

家庭教育部会に関わって
(字佐敷) 平井洋子
「基本的生活習慣のしつけから家庭学習の習慣化」、それが学力向上への手助けとなればという主旨に賛同して、1年間町学対の家庭教育部会の仕事をお手伝いしました。「児童生徒の基礎学力向上、健全育成に関する父母の意識調査」の集計業務、家庭用ステッカー作成、教育講演会等に参加して学力向上とは、学対とはと自分なりに分析してみました。
児童生徒一人一人に個性があるのと同じく、各家庭(父母)にも個性があり、それぞれの考え、方針で子育てを頑張っているのだと考えます。
学対でいう学力向上対策は多くの父母に押し付けの勉強のみでとらえられがちだけれども、私は少し視点をかえて、次の世代の担い手である人作りのための基礎学力向上対策ととらえています。
子ども達は、勉強の出来る子、スポーツの出来る子、音楽の好きな子、手の器用な子、絵のうまい子など、それぞれの個性があり、将来なりたい夢(目標)と可能性をそれぞれの心の奥底に持っているものだと思います。その目標に少しでも近づけさせ、世に送り出すのが、教師、親の役目ではないでしょうか。そして、それに必要なのが基礎学力ではないでしょうか。親は、家庭で、家庭学習への雰囲気づくり、習慣づけを頑張れば教師も頑張り、スムーズな学級づくりが出来るのではないでしょうか。それが全体のレベルアップにつながるものと思います。学校の授業参観の呼びかけには出来るだけ参加したいものです。親の子どもへの関心が子どもへの勇気づけや頑張りになると信じています。月1回の参観日は、しつこく親業をし続けたいと思っています。担任の教師との子どもについての対話はとても大切なように思われます。
先日行なわれた、町学対主催の教育講演会「子どもにやる気を出させる親の役割り」と題しての垣花具志川中校長先生のパンチの効いた清涼飲料水みたいな講演に多くの子育てのアドバイスを得ました。また、町子ども会での親子一緒のとても有意義の行事が多々ありました。このような家庭、学校、地域の中での子ども達の活躍が次の世代への人づくりにつながるように思えます。
学力向上とは、ただ単に学校の成績をあげる事のみでなく、基本的生活習慣を身につけることから次代を背負う、心豊かな人間づくりのためにもあることを確信し、多くの父母と一緒に諸々の行事に参加出来ればと考えています。

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大分類 テキスト
資料コード 008445
内容コード G000000631-0013
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第188号(1993年3月)
ページ 6-7
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1993/03/10
公開日 2023/11/30