なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

芸術 であい ふれあい 佐敷町文化センター(仮称)設立の理念

佐敷町文化センターは、町民会館と中央公民館の複合施設として、人々の多種多様な生活目的達成の場として活用されます。同センターはまた、心のよりどころとして存在し、祭りや芸能など数々の文化を生みだしていった「ナー」や「ムラヤー」につながる精神を現代に生かし、それをさらに継承、発展させる理念のもとに建設される施設です。
町民会館の原点は、佐敷町全域の「ナー」として、まさに町民の心のよりどころ-出会い、交流、連帯、創造の場-であり、中央公民館の原点は、佐敷町全域の「ムラヤー」として、町民の社会的活動、文化的活動、教育的活動の拠点としてあると考えます。
さらに大切なことは、佐敷町内に存在する有形、無形の歴史的遺産と現代が生みだした多くの文化を大切にしながら、未来のための文化づくりにも努めようとする視点です。
この文化センターは、まさしく、佐敷町の将来のまちづくりの核となるべき位置づけがされています。

町文化センター・ホールとは
佐敷町文化センター (仮称) のホールは、規模こそ小さいものとなりますが、個性のあるホールとして特に音響条件の点で最新の設備を完備したホールを目指しています。全国的なホールの専用化の流れに乗りつつも、ホールの音響特性と舞台機構のあり方を音楽(ホールの規模からしてピアノや室内楽)に絞り込んだ上で、可動プロセニアムや県内初の残響可変装置の利用によって、演劇や沖縄の芸能など他の目的にも対応できるホールを目指しました。
芸術文化の創造活動は、それに参加する町民、あるいはそれを見守り支援する町民を通して、一つ一つが直接、間接的に町の豊かさを生み出す原動力として作用する力を持っています。従来の伝統文化の保存保護、継承活動だけでは、文化振興に対する町民の新しい欲求を満たせず、特に若者たちの積極的な参加を少なくしています。子どもから高齢者までだれでもが参加しやすい音楽を主たる振興を対象としたのが「センター」ホールであります。  ひとつのジャンルを活性化することによって他のジャンルの文化活動にも刺激を与え、音楽を愛する町民が増えれば、郷土佐敷町を愛する人がさらに生まれ、それがひいては佐敷町に対する誇りを生み出していきます。これらの動きは、多くの面で佐敷町を主張しはじめることにつながり、それをさらに地域づくり、地域人材力の向上、地域からの情報発進といった町勢の活性化につなげていこうとするものです。
佐敷町文化センターは、音楽がもつ大衆への強い浸透力を活用してまちづくりのエネルギーを生み出す拠点として位置づけます。

ホール運営のための機能
町民に優れた舞台芸術を提供する機能、子どもから高齢者まで、あらゆる層の町民に最上の状態で優れた舞台芸術を提供します。佐敷町には近隣町村も含めて、これまで充実した舞台芸術上演の施設がないため、それに接するには、遠く那覇市や浦添市、宜野湾市まで出かけなければなりません。このことは健常者にとっても大変なことであり、特に高齢者や子どもたちに対して優れた舞台芸術に接する機会を極度に制限しています。文化センターは、自主事業や共催事業、貸し館鑑賞事業によって、音楽を中心にした舞台芸術を最上の状態で提供できる機能を有しています。
町民の文化的創造活動を支援する機能、町民の舞台芸術活動を多様な形で支援し、創造性を高めていく機能も有しています。特に照明や音響など充実したホール設備と熟練したスタッフの支援によって、活動の成果をより高い質で発表できるようにします。
さらに指導者や技術者の紹介を行なったり、稽古の段階においてリハーサル室や屋外ステージの提供を行なうなど、ハード、ソフトの両面から支援していくことになります。
教育活動と連動する機能、立化センターは、青少年にとってもうひとつの生きた学校として機能しなければなりません。生きた情操教育の場として、優れた音楽や芸能、演劇を鑑賞させるとともに、県内、県外、ひいてはアジア・太平洋地域の子どもたちとの芸術を通した交流の場としていきます。
文化団体や個人を育てる機能、中央公民館併設のメリットを生かし、お母さんコーラス、ジュニアオーケストラ、少年少女合唱団、児童劇団などの文化サークルの育成やピアノなど器楽の公開レッスン等を通した、若い力の育成を図るようにも活用していきます。
このような機能を発揮させるため運営体制の方針を次のように定めました。
 ①町民の文化創造活動を積極的に支援する運営体制
 ②開放的で自由性の高い運営体制
 ③町民に開かれた運営体制

文化センターはこのように活用されます
鑑賞系事業 《本物にふれ、感動を全身で体験する場》
遠くに出かけて行かなくても身近かな場で、家族と一緒にゆったりとした気分で一流の芸術、芸能を楽しみ感動する場をつくっていきます。そのためには、
●プロ、セミプロの音楽家、楽団、劇団などを招聘する自主事業。
●パレット市民劇場、具志川市民会館との音楽関係共済事業。
●施設の提供などによる他の団体、創造集団との共催鑑賞事業。
●貸し館による鑑賞事業。
●町民芸術広場では、県内外で活躍する芸術家をゲストに招き、その芸や作品を味わいながら佐敷町の文化をゲストと参加者で語り合うサロン風コンサートの開催。
などを計画しています。

発表系事業《町民自ら演じ、歌い、奏で、交歓する場》
●町民自らが参加し、支援する文化活動発表事業
 琉舞、民謡、ピアノ、含唱、吹奏楽など町民自らがプロデュースする自主的活動の発表
事業を推進していきます。
●文化センターが主体的に企画する発表事業
 文化協会や学校、企業等と連携して芸能祭、含唱コンクール、空手演武、音楽フェスティバル、芸術週間等を多様に繰り広げていきます。

 教育活動系事業《学校教育や社会教育と連動した教育活動を展開する場》
●芸術鑑賞教室
 子どもたちに優れた芸術文化を鑑賞してもらう事業を開催し、若いうちから鑑賞の目と心を養う機会をつくります。また、町内の幼稚園児から高校生まで発達段階に合わせて対象別に音楽、演劇などを鑑賞できるようにします。
●青少年文化交流事業
●伝統芸能保存、継承 創造研修系事業
●町民の手による創作活動
 町民劇、町民合唱祭など実際に舞台をつくる活動の体験を取り入れていきます。
●技術者養成事業
 施設を生かした創造活動を支援する意味で照明、音響、舞台などの作業ができる人材の育成のための研修活動を展開していきます。

町文化センターの概要
位置:佐敷町字佐敷307
敷地面積:6805㎡
規模:3,839.63㎡〔学習等供用施設(中央公民館)1,136.56㎡ 町民会館2,703.O7㎡〕
視聴覚室:97.39㎡(各種学級講座、サークル活動等に利用)
実習室:93.18㎡(竹細工、手芸、伝統玩具、絵画、版画など実技を伴う教室として活用)
児童室:122,15㎡(室内レクなどもできる自由開放の部屋。早朝や夜間は町民各年齢層の利用も可能。臨時の託児室にも利用できる)
図書室:175,70㎡(図書館ではない。蔵書はテーマを決めて収集する。CD、ビデオ等は、ここで借りて視聴覚室で鑑賞する。将来の町立図書館の足掛かりをつくる意味あいを含めた活用を図る)-1階
会議室・和室:47,20㎡(書道、華道、着付教室、囲碁クラブなどのほか少人数の会議に利用)
会議室・洋室:112.32㎡(30人以内の諸会議に利用)
集会室:214.04㎡(諸会議、学級講座、サークル・レクリエーション活動、展示会、軽スポーツ、パーティーなどに利用。イス席で400席、立食パーティーで250人収容)-2階
町民会館:固定席524席 舞台(間□18m 奥行き12m 高さ10m) 楽屋3室 リハーサル室 ロビーラウンジ喫茶コーナー 事務室・会議室(事務室内に各団体の事務及び会議スペースを確保)

ダウンロード
大分類 テキスト
資料コード 008445
内容コード G000000630-0011
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第187号(1993年2月)
ページ 6-7
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1993/02/10
公開日 2023/11/30