▽新年あけましておめでとうございます。本日は昨年をふりかえりつつ、新年の抱負などを語っていただきたいと思います。
町長 町民の皆さま、新年おめでとうございます。本年もかわらぬご健康、ご繁栄をお祈り申し上げます。
まちづくりの原点に町民の心を
佐敷町長 山城時正
さて、昨年は復帰20周年という節目の年であり、本町はもとより県内各地でさまざまな催しがありました。本町では、先の大戦時の学童集団疎開地・宮崎県高千穂町、日之影町への親善訪問を記念行事のひとつとして実施いたしました。両町に当時お世話になった皆さんはじめ芸能団を組織しての訪問はたいへん喜ばれ、今後の本町と両町の関係にとって有意義なものとなりました。
疎開していた皆さんは、いまは各分野で活躍しておられ、文化交流のみならず人的な交流も大いに深まり、今後の波及効果も期待できるのではないでしょうか。
▽ふるさと創生事業関係ではいかがでしょうか。
町長
人材の育成という点に力を入れ、青少年によるハワイ短期ホームステイなどを実施し、交流を深めました。暮れには、ハワイからの生徒も受け入れ、本町の人情や風土にふれてもらいましたが、子どもたちにはお互いによい刺激になったと思います。
今後ますます進む国際化社会にあって、青少年のハワイとの交流のはたすものは大きいものがあると感じられます。人材の育成は、まちづくりの一つの基本課題でもあり、将来にわたってハワイとの交流には力を入れて生きたいと考えています。
ふるさとづくり、まちづくりという面では、名称はまだはっきり決まってはいませんが、文化センター建設のメドが立ったということも大きなことです。本町の将来を見据えた事業であり、伝統文化はもとより、芸術・文化の拠点として文化センターのはたす役割は大きいといえます。さらに、青少年の情操教育という点からもセンターの建設は意義あるものとなっていきます。
文化センターには、県内でも特色ある、個性的な音楽ホールが整備されますので、あらゆる面から町の活性化につながっていくのではないかと確信しています。また文化センターの活用は、今後さらに進む高齢化社会を考えた場合、生涯教育といった面からも、大いに利用価値がでてくるものと思っております。
▽福祉面での現在、将来はいかがでしょうか。
町長
高齢者福祉対策として、県内でも初めて訪問看護ステーションを発足させましたが、在宅看護支援センターの活動と合わせ、心のゆきとどいた高齢者福祉対策を強力に進めていきたいと考えています。現在、老人保健福祉計画の策定に向けての活動を展開しておりますが、これは、実態を確実に把握し、よりきめ細かな事業にするためのものであります。実態とニーズに合わせた事業展開を図ろうとしているわけです。
▽住民調査、アンケートが計画されておりますが-。
町長
そうです。現場に密接した福祉対策、健康づくりを推進するためには、実態・ニーズの調査はぜひとも必要と思います。まちづくりの柱のひとつであります福祉の風土づくりの完成には、欠かせない作業ではないでしょうか。
▽マリン・タウン・プロジェクト の進展がみられましたが、佐敷町においての進捗状況はどのような状況でしょうか。
町長
本町の将来を決める開発計画であり、隣町村との関係も含め今後も慎重な態度で臨んでいきたいと考えています。開発には、地元の人々のコンセンサスが欠かせず、さらに、自然を含め、地域と調和した計画が必要です。いま、そういった方面からの調査、検討が進んでいるところです。
▽首里城が復元しまして、そのお祝いの首里城祭で、津波古の棒術や、伝統芸能の「天人(アマンチュ)」が出演しました。文化財保護、育成という面から考えられていることは-。
町長
町内各所で伝統芸能などの伝承、保存活動が進んでいることは聞いております。屋比久では、「ティンベー・カマンティー」の演武の保存活動が活発だということでありますが、なかでも、若い人たちが動き出しているということで、たいへん頼もしく感じております。
文化財は、無形、有形にかかわらず、佐敷町民の財産であり、誇りといえます。この誇りを磨き、輝かせることは、まちづくりの基本となっていくものです。このことを考えますと、若い人たちがそうした動きに参加してくることは佐敷町の活性化に大きな力となってくるものと思います。
伝統を守り、育て、それを誇りとする若者がふえてくることは、地域を支える新しい世代、ふるさとを愛する世代が次々と誕生していることです。まちづくりの原点がいよいよふくらんでいると受けとめています。行政としても、文化財の保護、育成には今後とも力を入れ、いろいろな場で佐敷町をアピールできるようにしていきたいと考えています。
▽町長は、全国町村会行政部長として活躍しておられましたが、 昨年11月には全国町村会常任理事に就任されました。今後の抱負などを聞かさせてください。
町長
全国的な組織の中で活動できることは、佐敷町はもとより私自身にとっても大きな意昧あいがあると思っています。しかし、これも、助役以下、町職員のバックアッブがなければならないものであり、今後ともさらなる協力をお願いしたいと思っております。
▽全国町村会関係で、骨髄バンクの全国組織の理事にも就任されておりましたが-。
町長
全国骨髄バンクが設立されて、その活動も多くの方々の理解と協力により進展しております。いま、私は、厚生省より公衆衛生審議会委員の委嘱を受けておりまして、骨髄バンクに関する活動はもちろんのことですが、環境問題にも取り組んでいかなければならない立場にあります。
▽全国町村会常任理事は、全国で12人、九州で2人、なおかつ沖縄からは初めてということですが-。
町長
その意味では重大な責務と受けとめています。しかし、その中で、全国的な場での発言権というものも大いに活用し、佐敷町の問題、沖縄県の問題等の解決に向けた活動をしていきたいと考えています。活動を地域に還元していく形で働きたいと思います。
▽若い人になにか、ひとこと。
町長
平凡なことですが、常に前向きの姿勢で努力していけば自ずから道は拓けます。まちづくりもその面を考慮し、生きがいとやりがいを追求したいと思っています。