7月○日
65歳のTさんは、毎年、公民館で受けている住民検診で高血圧症という結果が出、治療
の必要性も指摘されました。しかしTさんはそのままにしていました。
早速、家庭訪問をしてみると「どこも痛くないのに大丈夫。倒れたら、すぐあの世に行く
からいいよ」と笑っていました。その側で、奥さんは「いくら注意しても聞かないので、強
くいってください」と心配していました。何度かの訪問で、Tさんはようやく受診しました
が、半年ほどで治療を中断してしまいました。
高血圧症の診断から3年目にTさんは高血圧性脳出血で倒れ、左半身マヒになってしま
いました。3ヵ月間の入院の後、訪問してみると「いうことを聞いておけばよかった」と涙
を浮かべ述懐していました。
その後、町の実施しているリハビリ教室にも通うようになり、同じ障害を持つ仲間ととも
にがんばっています。冗談の好きな明るいTさんは、いま、ツエをついて、足をひきずり
ながらも朝の散歩とゲートボールを一番の楽しみにしています。