父母の力が学校現場に 佐敷町教育長 宮城 繁
今回は、アフイマヌ小学校のPTA会員のポランティア活動と児童保育について触れてみたいと思います。
学校を訪問すると、すぐ校長先生に拶挨をし、事務室の職員に紹介され、隣の部屋でお茶をすすめられました。するとそこで、4、5名の婦人が一生懸命作業をしていましたので、めずらしく思い、ドリーン先生に尋ねると、彼女等はポランティアの方々で先生方の手伝いをしているとのことでした、PTA役員のなかに、コーディネイター(調整係)という役員がいて、先生方から出される作業量に基づいて動員計画を作成し、毎日適当な人数のボランティアを指名するのだそうです。
さすがアメリカは、ボランティアの国だと実感致しました。先生方は、古今東西を問わず、雑務に追われ、このようなボランティアの一助があれば、大へん助かり、その分子供達の教育のために還元できるということになります。
それでは、ドリーン先生のアフイマヌ小学校のボランティア活動を紹介します。
「アフイマヌ小学校では、父母がいろいろなボランティア活動をしています。ポランティア活動は、登録制で、週2、3時間奉仕をするものであります。その活動内容をご紹介しますと、(1)先生方に代って、児童の学習のためのプリントのコピー、(2)図書館で働く、(3)児童生徒の授業を手伝う、(4)学級旅行や遠足のとき、児童生徒の監督、(5)児童生徒のための教材作成のお手伝い--等があります。
PTA会員である父母が提供するボランティア活動は、先生方から大へん感謝されています。お陰で先生方は、より多くの時間を児童生徒との共同作業や教案作りの時間に充てることができます。
次は、ハワイ州の児童保育を紹介したいと思います。経済が発展し、社会が多様化、高学歴化する中、新しい価値観やより豊かな生活を求めて、女性が職場進出をするとき、学校の授業が終り両親が仕事から帰宅するまでの間、子供の世話は誰がするかという問題が起る。その対策として、いわゆる鍵っ子対策をハワイ州は、次のように試行しています。
「この計画は、A+放課後計画と呼ばれ、共働き夫婦の児童生徒のために、放課後の活動や監督をするため、ハワイ州が90年2月から実施した計画です。当初、必要経費や方法論でいろいろと議論がなされました。そこでパイロット事業とすることとなり、2月から6月までの間、試験的に実施されることになりました。このA+放課後計画では、責任者1名、書記1名、成人指導員若干名を採用し、彼等は、午後2時15分から5時30分まで、小学校において、これらの子供達の面倒をみます。この計画の恩典を受ける子供達は、両親が共働きであることが条件になっています。今まで学校が終って両親が仕事から帰って来るまで、彼等は自分の世話は自分でしなければならなかった鍵ッ子でした。
両親は、自分の子供をこの計画に送るには、月額60$(約8000円)を負担しなければなりません、子供達は、午後の保育中にジュースやクッキーのスナックが与えられます。指導員は、子供達会員のために活動計画を立てなければなりません。これらの活動には、絵や工作、グループゲーム、自由遊び情操を豊かにするドラマや音楽などがあります。宿題の時間も設けられていて、子供達は、この時間内に宿題をしなければなりません。解らないときは、指導員から指導を受けることができます。
この計画は、非常に新しい制度であるので、未だ手を加えたり改善すべきところがあるようです。
しかし、父母は、自分達が働きに出ている間、子供達が安全で、勉強や遊びが出来るので、大へん気に入っています。この計画は、9月に新学期が始まっても、きっと継続されていくころでしょう。」
ハワイ州のアフイマヌ小学校を訪問したのは、僅か2時間足らずでしたが、所変われば品変わるで6回にわたり「広報さしき」でアフイマヌ小学校の紹介をすることができました。教育行政にたずさわるものとして、数多くの示唆を受けることができました。町民からのご要望・ご意見等があれば、大へんありがたいと思います。
最後に、お忙しいなかを私達のために、ご寄稿された元佐敷中学英語教師のドリーン先生に厚くお礼を申し上げます。(完)