戸籍は、パスポートを取得する場合とか、相続登記をする場合など、いろいろなところで利用されています。このように、戸籍は、日本人についての身分関係を登録・公証する公文書として重要なものですから、正しい文字で記載する必要があります。
しかし、戸籍の中には、氏名が誤字あるいは俗字で記載されているものもあります。そのため、官公署の窓口等でトラブルを生じ、社会生活上、不便を強いられておられる方々もあるようです。
そこで平成3年1月1日以後は従来の戸籍に誤字・俗字で記載されている氏名を新しい
戸籍に記載する場合には、正しい字を用いることになりました。
新しい戸籍には正しい字で記載します
従来の戸籍に氏名が誤字・俗字で記載されている方について、次のような場合には、新しい戸籍に正しい字で記載します。
▼婚姻、転籍等によって新しく戸籍を作る場合
▼養子縁組などによって他の戸籍へ入籍する場合
▼戸籍を再製する場合等
誤字・俗字を正しい字で記載する場合には、届出の時あるいは戸籍に記載した後にその旨をお知らせします。
俗字のうち、「髙」とか「﨑」など、一定の範囲の字については従来のまま記載されます。
申出によって正しい字に訂正することもできます
現在の戸籍については、そのままでは正しい字には直りませんが申し出によって、いつでも戸籍に記載されている誤字・俗字を正しい字に訂正することができます。
申出によって難しい字体をやさしい字体に直せます
戸籍に記載されている氏名が、例えば「邊」と旧字体で記載されているため、ご不便を感じておられる方は、申し出によりその字体に対応する新字体(通用字体)である「辺」に直す(更正)ことができます。
ひとくちメモ
正字とは何ですか
社会一般において正しいと認められている文字です。具体的には、①常用漢字表など公的裏付けのあるもの及び②康煕字典、漢和辞典等で正しいとされている文字です(康煕字典とは、中国清朝の康煕帝によって編修された字書で、その字体は字源に根拠があり権威のあるものとされています)。
誤字・俗字とは何ですか
俗字とは、本来、正式の場面では用いることのできないものですが、慣習上、比較的広く用いられている俗用の文字です。具体的には、漢和辞典等で俗字とされている文字です。また、誤字とは、正字でも俗字でもない誤った文字です。
戸籍上の文字は、日常生活上の使用も制限するのですか戸籍は、日本人についての身分関係を登録・公証する唯一の公文書として重要なものですから、正しい文字で記載する必要があります。しかし日常生活で通常使用される氏名の文字については、必ずしも戸籍上の文字に拘束されるものではなく戸籍に記載されている字体と異なる字体を使用することもできます。