ハワイは国際社会の先進地
佐敷町教育長 宮城繁
今回は、アフイマヌ小学校の外国語教育について触れたいと思います。ドリーン先生の案内で、各教室を見て回っていると、1つの空き教室に出くわしました。黒板には日本語が板書されてあったので、日本語を教えているのですかと尋ねると、希望する子供達だけに教えているという返事でした。
最近日本でも国際化時代ということで、外国語教育に力を入れるようになったが、ハワイはもともと多民族社会で数多くの言語が話されていて、国際社会という点では先進地であり、学ぶところが多いと思います。
我が沖縄県の小学校においても戦後長い間英語教育が行なわれていたことは未だ記憶に新しいが、しかし、いつの間にか廃止されてしまいました。ご承知のとおり、言語教育は、幼少の頃から始めた方がより効果的だと言われています。
最近テレビ等で、保育所や幼稚園での英語教育が番組で紹介されるのは、そのためでしょう。
日本の英語教育は、中学で3年高校で3年、大学で4年、合計して10年勉強していますが、外国人とのコミュニケーションが下手だと言われています。その大きな理由は、日本の英語教育が、読み書きに重点が置かれ、聞くこと話すことが軽視されているところに問題があると言われています。然しその短所は、見直されつつあり、英語を母国語とする青年教師1900名(平成元年度)を招いて生きた英語に触れさせようということで、全国の中高校に配置されています。その成果は、大きく期待されています。
それでは、アフイマヌ小学校の日本語教室についてのドリーン先生の手紙を紹介しましよう。
「本校における外国語教育の目的は、若い子供達に他の国の言葉、歴史及び文化を勉強する機会を与えるためです。本校の外国語教育計画は、3年生から6年生までの児童を対象に希望者だけに課外授業として行なわれます。どの国の言葉を選択するかは、父母からのアンケートの結果決まります。私達の地域では、父母は子供達が日本語を勉強することを希望していました。
他の学校では、スペイン語、ハワイ語、フランス語、またはドイツ語というような外国語を教えているところもあります。本校では、日本語を母国語とする先生が学級を担当しています。日本語学級は2クラスあって、それぞれのクラスとも、20名程度の児童がいて毎日1時間日本語の勉強をしています。
8歳から9歳までの子供達の初級クラスは、日本語の会話を勉強しています。子供達は、日本語の語句を、歌、遊戯、ゲームを通して勉強します。日本語は、ローマ字で書いて紹介します。日本語の読み書きは、教えていません。
10歳から11歳までの子供達の上級クラスは、日本語の会話を引き続き教わると同時に、日本語の文字(片かな及び平がな)の読み書きを初めて学ぶことになります。先生は子供達に、できる限り多く日本語で話しかけるようにしています。子供達も進んで日本語で応答するようにします。
これらのクラスの子供達は、日本語を沢山勉強しています。然しながら、彼等の両親や友達は、日本語が話せませんので、教室外では、日本語を話したり、練習したりする機会は、全くありません。従って、ペンパルと文通したり、佐敷町の子供達とテレビ電話を通して話をすることによって、彼等の経験を広げることが出来れば、幸いだと思います」。
先月の広報にも紹介がありましたが、佐小、馬小の両英会話クラブの子供達30名余とアフイマヌ小学校の日本語クラブの子供達がテレビ電話を通して今まで勉強して来た英語、日本語の成果を確め合いました。これを機会に、これらの子供達が、国境を越えて、友情の和を広げ、益々英語、日本語の勉強に励み、将来立派な国際人に成長して欲しいと願うものであります。