潜在能力を最大限開発するために
佐敷町教育長 宮城 繁
最近日本でも今日までの学校教育の画一性について反省し、学校教育の個性化が叫ばれていますがアフイマヌ小学校のギフテイド・アンド・タレンテイド・クラス(「英才児学級」と訳しておきましょう)を参観し、さすがアメリカは、その分野での先進地だと感激致しました。
クラスには、5、6名の児童が自分達の学級から離れ、自分が最も関心のある事柄について、一生懸命勉強していました。ある児童は、ほん訳された広島の被爆少女の本を読み、
平和について発表するため、自分の考えをまとめているところでした。
それでは、ドリーン先生が寄稿したハワイ州の英才教育計画をご紹介したいと思います。
「この英才教育は、学業成績が優秀な児童生徒に、彼等が特に関心を持っている事柄を探求し、課題研究を行ない、そして独自の学習技術を発展させる機会を与えるためです。この計画は、15年前ハワイ州教育庁によって法制化されたもので、幼稚園から高等学校まで
適用されます。
この計画に参加する子供達は、次の資質によって選ばれます。
1、知能、能力、適性が平均以上であること。
2、教科における達成度が、80点から99点の間であること。
3、創造性が担任教師によって評価されていること。
4、成績及び学習態度がよいこと。
初等教育レベルでは、子供達は口頭及び文章での表現技術を高める勉強をします。スピーチの原稿を書いたり、学級でそれらのスピーチを実践して練習をします。また、弁論大会では他校と競い合ったりします。これらの子供達は、多くのプロゼクトに関っていて、大学の研究室、官庁、病院等の多くの場所を訪れたり、彼等のクラスにスピーチの指導者を招いたりします。子供達は、週に数時間この特設学級に出席します。この学級は、6名ないし
10名の少数の児童から成り、英才教育の特別訓練を受けた先生が教えます。
中学校及び高等学校の中等教育レベルにおいては、学校は学業の進んでいる生徒のために名誉学級を開設します。これらの生徒は、よりレベルの高い数学、科学、外国語、社会科及びその他の学科を勉強します。卒業前にすべての必須教科を完了した生徒達は、大学におけるより高度の教科さえ受講することができます。これを『早期入学』と呼んでいます。例えば、高等学校でのすべての科学の教科を終了した3年生は、未だ高等学校在学中でも、大学における科学のその他の教科を取ることを許されます。この『早期入学』は、また中学生にも適用され、高等学校のクラスに出席することもできます。例えば、中学校3年生が高等学校の授業が受けられるということです。
この英才教育を提供している目標は、この理知的子供達に自分の潜在能力を最大限に発揮できるよう手助けすることにあります。
本県においても戦前は、特に優秀な児童生徒には飛び級をさせ、若くして中等学校への入学を許された者がいたという話を聞いたことがあります。最近文部省所管のある審議会においても、特に優秀な児童生徒が飛び級できる制度について話し合われたようですが、賛否両論あってなかなか結論を出すのが難しいようです。
従来、国県の教育施策において知能の恵まれない子供達のためには施設を整えたり、特段の配慮がなされていましたが、知能の特に高い子供達への特別の施策はなかったように思われます。
然しながら、最近ようやく彼等の能力を十二分に伸ばすのにふさわしい学校が新設されるようになり素晴らしいことだと思います。
我が国の憲法には、「すべての国民は、・・・・・・・、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」とうたわれています。