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ハワイ最新事情② ハワイの文化、言葉を守る

学校教育に取り入れ継承 
佐敷町教育長 宮城繁

前回は、アフイヌマ小学校の学校給食制度についてご紹介をいたしましたが、今回は、「ハワイアナ計画」についてご紹介したいと思います。ハワイアナとは、ハワイの土地の交化という意味だそうです。
沖縄でも、上手に方言を話せる子供達が、だんだん少なくなり、方言を残そうと青少年育成市町村会議、商工会青年部等が、少年方言大会などを開いて好評を得ています。ハワイも例にもれず、消えて行く文化と言葉を後世に残そうといろいろと努力しているようであります。
沖縄県では、まだ行政が、その問題に取り組んでいるところはないと思いますが、ハワイでは、州政府の施策として取り上げているところにその特色があるのではないかと思われます。それでは、山城ドリーン先生から寄せられたハワイアナ計画をほん訳し、ご紹介したいと思います。
 「ハワイアナ計画は、ハワイの文化や言葉が死滅するのではないかという憂慮から、ハワイ州立法院の訓令によって設けられたものです。この計画は、州内の小学校において実施されています。幼稚園児から6年生までの児童生徒が、ハワイの原住民である話し手から昔のハワイの文化や言葉について学ぶのです。彼等話し手は、普通子供のときから家庭でハワイの言葉を覚えた年輩の大人達です。彼等はまた昔のハワイのゲームや、工芸や、芸術も教えてくれます。
彼等ハワイの話し手(カナカ語ではクプナという)は子供達に、昔ハワイの人々はどういうように生活していたかを語って聞かせてくれます。また、昔のハワイの人々は、草ぶきの家でどのように生活を営なみ、穀物を植え、そして食糧として魚類を取っていたかも説明してくれます。クプナは、またダンスや、歌や、昔のハワイの楽器の弾き方も教えてくれます。
クプナは、授業の中で物語も聞かせてくれます。子供達は、ハワイの伝説や民話にも非常に興味を示し熱心に聞いてくれます。
この計画の目標は、子供達に自分が住んでいる土地の文化に感謝し、ハワイの言葉が永遠に生き続けるよう教えるためであります」。
ドリーン先生の寄稿は、以上ですが、このハワイアナ教室の壁には、子供達が描いた人形の切り抜きが貼ってありました。よく見ると、黒人、カナカ人、東洋人、インド人、白人等あらゆる人種の切り抜きが飾ってありました。これは皮ふの色は違うが同じ人間だから仲良くしようということを教えていることと思います。
話は変わりますが、フランス政府は毎年七、八千人の児童生徒をドイツに送り、向うの児童生徒との交流を図っているそうです。これはフランスとドイツの間の度重なる歴史的不幸を2度と繰り返すことがないようにという計いからだそうです。そのためには、子供の頃からお互いに交流し、相手をよく理解させることが大事だという視点からの施策だそうです。
同じ観点から、日本も、中国、韓国、台湾、東南アジアの国々の児童生徒との交流を盛んにしたらどうでしょう。
幸い日本政府も人材育成等のためふるさと創生事業という新しい施策を打ち出しています。この事業は、地方公共団体が、特色あるまちづくりや、次代を担う青少年の育成のための助成事業です。各市町村が、よき国際人を育てるために、この資金の一部を、青少年の国際交流に有効活用して欲しいと思います。               (つづく)

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大分類 テキスト
資料コード 008443
内容コード G000000595-0013
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第157号(1990年8月)
ページ 6
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1990/08/10
公開日 2023/11/28