佐敷町の将来のまちづくりへ向けた動きが、いま、着実に進んでいます。住民の意思の反映するまちづくり、快適で潤いのある佐敷町の実現をめざし、さまざまな角度からの検討が加えられています。第1次基本構想から第2次基本構想へ。恵まれた自然を生かしたまちづくりは、今後どのような方向へ-。
第四節 活力のまちづくり -産業の振興-
本町の産業は、農業を基幹に漁業および商工業などで構成され、地域発展の原動力となっています。
将来とも本町の地域特性が発揮できる産業の発展可能性を掘り起こします。そして、21世紀の時代動向に対応した産業の発展や多様化をめざします。
1 農業
本町の農業は、基幹作目であるさとうきび生産を取り巻く内外情勢の変化や土地改良事業による生産基盤整備などにともなって、新たな方向性の確立が求められています。
すでに、オクラ、ピーマン、さやいんげんなどの野菜づくりや花卉生産など農作目の多様化への取り組みも開始されています。農業振興にあたっては、今後とも農用地の総合的整備によって生産環境の改善をすすめます。とくに、農地の集団化や斜面農地の活用による農用地の合理的利用や農業用水の確保、土づくりなどを推進します。
また、本町の立地特性を活かし、都市近郊農業を発展させます。そのために、高付加価値作目の導入による多様化の促進をはじめ、農業経営の近代化などによって所得の安定化に努めます。
さらに、将来にわたって農業発展を図るために担い手となる若い後継者を育成するとともに、各種生産組織活動の活性化を促進します。
2 漁業
本町における漁業生産を取り巻く環境特性を活かし、沿岸漁場の整備や活用、漁業経営の近代化、組織体制の強化拡充、後継者育成などをすすめます。
今後とも安定した漁業生産を図るために、栽培漁業や水産加工の育成など、新たな漁業発展の可能性を検討します。
なお、漁業生産活動の展開に対応して馬天港の機能拡充など拠点づくりを促進します。とくに、新鮮な水産物を消費者に提供するために流通の改善を促進します。
さらに、沿岸域の開発動向をふまえ、漁業振興への取り組みを検討します。
3 商工業
本町の商工業は、町民生活に対応した業種で構成され、ほとんど零細的な経営形態となっています。しかしながら、商店でみると、比較的大型のスーパーや共同店舗の開設など新しい商業の形態も出現しています。
今後とも町内需要に対応した業種の育成を図り、多様な地場産業を振興します。商業では、専門店の育成をはじめ経営の合理化、近代化の促進などによって、町民の地元購買力を高めます。また、工業では、適正企業の立地促進などによって工業用地指定地域の利用を図ります。
4 観光
本町における観光は、それほど展開されておらず、南部観光の通過地としてのイメージが定着しています。しかしながら、新たに地域開発の動向として、リゾート観光が脚光を浴びており、すでに本町でも「シーガーデン構想」が検討されています。
また、厚生年金休暇センターの立地によって、内外からの来訪者の増加が予想されます。
将来とも時代動向に対応し、地域特性を活かした観光振興を図ります。そのために、観光拠点地づくりをすすめ、地域に根ざした多様な観光資源の堀り起こしを推進します。とくに、都市近郊という立地特性をふまえ、沿岸域や斜面域の自然環境を活かした観光魅力の創出を図ります。
第3章 実現のために
21世紀にむかっての本町発展の方向を確立する第2次基本構想は、そのめざすべき将来像を、「自然との調和、活力ある健康なまち佐敷」と設定し、将来像を支える5大ビジョンとして、①佐敷シーガーデン構想、②全町植物園化構想、③コミュニティ・ネットワーク構想、④ヘルシータウン構想、⑤佐敷・ルネッサンス構想をかかげています。
将来像や5大ビジョンを実現するためには、施策の大綱に示した諸施策を着実に実施していくことが必要です。また基本構想にもとづいて基本計画・実施計画を策定し、具体的な事業の推進と効率的な行政運営を実施していきます。
しかし、将来像実現のためには、ひとり行政のみの努力では不可能です。町内のありとあらゆる活力を結集し、外部からの活力も導入し、組織的に対応することが要請されます。この基本構想実現のために、つぎのような体制を確立し、積極的な町づくりを推進します。
①町民参加の町づくり--町民ひとりひとりの意欲を喚起し、協力と連帯のもとに創造的な町づくりを推進します。
②行財政の確立--効率的な行政運営と財源の確保に努力し、着実に発展する町づくりをめざします。
③広域行政の展開--近隣の市町村と協力し、広域的な連携のもとに効果的な町づくりを実現します。
④国・県の協力--国や県の協力を要望し、各種事業の導入と、財政的支援を得て個性あふれる町づくりを推進します。
⑤民間活力の導入--民間団体や企業のもつ資本と技術を誘導し、民間活力にあふれた町づくりを促進します。
このように、基本構想実現のための体制を確立し、参加と創造を基本に総力をあげて21世紀への町づくりを実現します。 おわり