なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

ハワイ最新事情① 多彩な教育内容の小学校

文化、語学教育もとり入れた授業
佐敷町教育長 宮城繁

先日、公務でハワイを訪れたとき、1年間佐敷中学校で英語の指導に当っておられた山城ドリーン先生の学校を訪問することができました。先生の学校は、ホノルル市郊外のマアヌバリを過ぎ暫らくドライブしたところの高い山裾にあるアフイヌマという小学校。周囲には新興住宅が広がり、児童生徒が急増しプレハブ校舎も建っていました。山頂は霧がかかり、中腹にはマルコス前フィリピン大統領のお墓が小さく見えました。
私は、元校長の山城マーガレットさん(父母が津波古出身)の車で学校に着くと、ドリーン先生の案内で校長室に通されました。稲田グラディス校長は、大へん物腰がやわらかく誰からも尊敬される立派な教育者という印象を強く受けました。校長先生は、児童保育の実施が間ぢかに迫り、大へんお忙しい中を私達のために時間をさいてくださいました。私達は、暫らく校長先生のお話を聞いてからドリーン先生の案内で学校を見て回りました。
私は、見るもの聞くもの全てに興味津津で、所変われば品変わるのたとえを実感しました。特に興味を感じたのは、CAI教室、日本語教室、ハワイ文化方言教室、幼稚園クラス、PTA会員の奉仕作業、学校給食、図書館運営等でした。
この小学校には、運動場も、体育館も、プールも見当りませんでした。しかし、体育館ほどの大きな学校食堂がありました。沖縄の米軍基地内の小学校とよく似ていると思われました。ドリーン先生の説明によると、アメリカの小学校では、体育、音楽、美術等は正規の教科ではないということでしたが、日本の制度がよいのかも知れないとコメントしていました。
この食堂には、子供達が休み時間に遊べる体育遊具がいくつか後方に置いてあり、また、5、6名のボランティア・バンドの青年男女が、30名程の児童を前に音楽を演奏していました。
そろそろ昼食時間になったので子供達が廊下を伝ってどっと食堂の方へ流れ出て来ました。茶色の紙袋(英語ではお弁当の意味)やなにかチケットのようなものを持っていたので聞いてみると、給食券という説明でした。子供達は、お母さんが作った弁当を持って来ても、学校給食を買って食べても自由だそうです。
ドリーン先生から、いろいろと興味深い記事を送ってもらったので、主なものを紹介していきたいと思います。先ず最初に、給食券制度を紹介します。
「この給食券制度の目的は、給食費の支払いを促進し、低所得家庭の児童の差別を防止するためです。この制度は、児童生徒が毎日の給食費を前払いできます。給食費は、1食45セント(約69円)です。本校では、児童の父母は、10日分の給食券を4$50セントで購入できます。低所得家庭の子供達は、無料で給食券が配られます。この制度は、低所得層の子供達が分からないよう配慮しすべての給食券は同一のものが使用されています。給食券を忘れたり紛失した児童は、事務所から給食券を借りることが出来ます。事務所は、給食券貸出帳簿をつけ、週1回貸出券の請求を行います。
各学校とも少しずつ異った給食費支払制度があります。学校によっては、まる1月分の給食券が買えるところとか、またある学校では1週間分か10日分買えるところがあります」。    (つづく)

ダウンロード
大分類 テキスト
資料コード 008443
内容コード G000000594-0015
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第156号(1990年7月)
ページ 6
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1990/07/10
公開日 2023/11/27