なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

シリーズ③ まちの明日を考える

佐敷町の将来のまちづくりへ向けた動きが、いま、着実に進んでいます。住民の意思の反映するまちづくり、快適で潤いのある佐敷町の実現をめざし、さまざまな角度からの検討が加えられています。第1次基本構想から第2次基本構想へ。恵まれた自然を生かしたまちづくりは、今後どのような方向へ。

第三節 土地利用の方針
本町は陸域から海域に向かって台地、斜面、低地と明瞭な地形区分が可能であり、これに対応した土地利用が形成されています。これまで、農業的利用を主体に安定した土地利用がなされてきました。
将来とも地形区分の反映された土地利用を基礎とし、それぞれの整合性を図り、合理的な土地利用を確立します。
 なお、土地利用の区分として
 (1)市街地域
 (2)集落地域
 (3)農用地域
 (4)斜面緑地保全地域
 (5)台地活用地域
 (6)海浜活用地域
 の6区分を設定し、つぎのような基本的考え方に基づいて土地利用を図ります。

1 市街地域
津波古、新開を中心に都市計画で市街化区域に設定されている地域です。今後とも土地需要の高い地域であり、土地区画整理などによって計画的な市街化を図り、都市基盤の整備によって快適で利便性の高い生活域をめざします。
2 集落地域
既存の集落域であり、それぞれの立地特性を活かし、周辺環境と一体となった土地利用を図ってまいります。
なお、新たな宅地需要については、可能なかぎり既成宅地の活用を促進しつつ、周辺土地利用との整合性を考慮した住宅地の確保に努めます。

3 農用地域
低地域を中心とする農業生産域です。今後とも農用地を保全し、斜面域の可耕地の利用促進によって拡大を図ります。とくに、環境条件に適応した土地改良事業などをすすめ、農用地の合理的な利用を図ります。
また、農業生産の動向をふまえ、農用地の高度利用を促進します。

4 斜面緑地保全地域
本町の土地利用の骨格であり、すぐれた地域景観を形成しています。将来とも水源函養、風衝、自然景観などの機能を保持するために、既存緑地を保全します。また斜面域の植栽事業を継続的に推進し、森林の造成を図ります。

5 台地活用地域
すでに、宅地開発や厚生年金休暇センターの立地などによる利用がすすめられています。今後とも周辺地域との一体的な土地利用を図り、一部で農用地利用を促進します。

6 海浜活用地域
沿岸域の特性を活かし、陸域と一体となった活用を推進します。とくに、漁業生産活動や海浜レクリエーションなどに対応した利用を図ります。
なお、シーガーデン構想の実現に向けた地先埋め立てや沿岸域の開発動向に対応した土地利用を検討します。

第2章 施策の大綱
第1節  快適なまちづくり
-生活環境の整備-

1 集落環境の整備
本町の集落は、おおむね集村形態となり、国道を軸として平坦低地を中心に立地しています。中には、斜面域への立地もみられ、それぞれ、特徴ある形態を呈しています。これまで生活道路、排水路、遊び場、広場、集会施設、街灯などを計画的に整備しており、集落環境が大幅に改善されています。
今後ともそれぞれの立地特性を活かし、集落のもつすぐれた景観を保全育成するように環境整備をすすめます。とくに、集落景観を特徴づけている風致林や縁辺緑地を保全し、生垣づくりや花だん設置促進などによってうるおいに満ちた生活環境を創出します。また、公民館を中心とする地域は、住民の交流拠点であり、既存施設の整備や環境美化などを促進し、シンボルゾーンにふさわしい環境づくりに努めます。
なお、集落環境の整備にあたっては、地域住民からの要望をはじめ、町民生活の変容に対応したものとします。また、地域住民の日常的な協力や自主的な参加のもとに、地域コミュニティを育成します。

2 市街地整備
津波古と新開地区は、国道を軸に市街地が形成されています。すでに、都市計画による市街化区域が設定されており、沿線沿いの宅地化の進行など今後とも市街地の拡大が予想されます。
したがって、市街化区域における合理的な土地利用を図り、都市基盤の整備などによって快適で利便性の高い生活環境づくりを推進します。既成市街地の整備とともに新たな土地需要の動向をふまえて区画整理を推進し、計画的な市街化を図ります。また、商店やサービス関連業種などの立地を促進し、町民にサービスする都市機能の拡充をめざします。
なお、シーガーデン構想など今後における地域開発と一体となった市街地整備を検討します。

3 道路網
幹線道路は、町民の生活や生産活動の骨格軸となり、有機的な道路網の形成によって利便性の高い地域環境づくりが推進されます。
幹線道路としては、国道331号および県道137号線が広域的に連絡し、町民の生活圏の拡大にともなってますます重要な役割を果たしています。これまで計画的な整備によって道路環境が大幅に改善され、とくに国道のワシントンヤシ並木は、シンボルロードとして知られています。
今後とも既存の幹線路と町道、農道とのネットワークを強化拡充します。また、台地部と低地部を結ぶ広域幹線道路やシーガーデン構想など将来の地域開発の動向をふまえた道路ネットワークの再編を検討します。
道路整備にあたっては、歩行者の安全を優先し、通過交通の円滑化など安全で、便利で、しかも快適な道路環境づくりを推進します、とくに道路景観の向上を図るうえで国道、県道の街路樹の育成促進をはじめ町道沿線の緑化をすすめ、道路を軸にした緑のネットワークづくりを推進します。なお、道路沿線に立地する住宅や商店などの各種事業所、および公共施設などと一体となり、町民の協力による道路美化運動をすすめます。

4 センター地区の整備
佐敷、兼久を中心とする地域は、各種公的施設が立地し、町のセンター地区となっています。
今後とも町民の交流やサービス関連などの機能を拡充し、それぞれの有機的連結や新規施設の適正配置などによって合理的な土地利用を図ります。とくに、周辺の集落域や市街地域および新たな地域開発の動向をふまえて、一体となった地域整備を推進します。
なお、センター地区は、町民に限らず多くの来訪者があり、本町を内外にピーアールする拠点として、公的施設の緑化や沿線の環境美化などによって、快適で魅力ある環境づくりをすすめます。

5 上水道
町民の日常生活における変化の1つに水利用機会の増加があげられます。また、近年において大口水需要者が増える傾向にあり、水使用量が年々増大しています。
したがって、今後とも水需要量や地域開発の動向に対応して、良質で常に安定した生活用水の供給体制を強化拡充します。
なお、町民の日常的な節水思想の周知を図り、井戸水など自家水源の利用促進によって生活用水の有効利用に努めます。
さらに、将来にわたって生活用水供給の安定性を確保するために、関連機関への総合的な水資源開発を要請します。

6 環境衛生
家庭ゴミ・し尿等廃棄物は、収集システムおよび広域的な処理体制が確立されており、生活環境の向上に大きな成果をあげています。また、町民の環境美化への関心の高まりの中で、C・G・G運動にみられるように内外から高く評価されています。
今後ともゴミ量の増大や質的多様化への対応をはじめ産業廃棄物の処理など広域的な体制を強化促進します。また、町民の環境衛生に対する意識啓蒙を図り、地域ぐるみの美しい町づくり運動をいっそう展開します。さらに、ゴミの自家処理や資源の再利用、およびし尿浄化槽の維持管理などを促進します。

7 下水道
町民生活の変化や多様な産業活動の展開などにともなって、ますます下水処理対策への要望が高まっています。
将来にわたって、川や海のすぐれた自然環境を守り、快適な生活環境づくりをすすめるうえで下水道整備を検討します。
下水道整備にあたっては、広域的な取り組み体制の強化促進やこれからの地域開発の動向との整合性を考慮したものとします。

8 地域防災
集落や農用地の背後地を取り巻くように傾斜地が分布し、しかも前面は海域に接しており、地域防災上の対応すべき地域課題となっています。これまで地すべり防止や海岸地域における町土保全のための施策をすすめてきました。
今後とも安全な生活環境づくりの、環として地域特性に配慮した防災施策を推進します。とくに、斜面域の既存緑地の保全とともに、植栽事業を継続してすすめます。また、海岸地域における護岸機能の強化促進、および防風防潮林の保全と育成を図ります。
なお、斜面域、海岸域の開発利用にあたっては、立地特性をふまえ環境保全に十分対応したものとします。さらに、町民に対して防災知識の普及に努め、地域ぐるみの災害防止体制を強化します。

9 消防・救急
消防・救急は、人身事故や急病および火災の発生などから町民の生命、財産を守るうえで重要な業務となっています。そして、町民の日常生活で多くの人災発生の危険性が高まり、しかも住宅構造の変化や高層化などによって、新たな対応が求められています。
将来とも東部消防組合による広域体制のもとに、組織体制の拡充、消防・救急機材の整備などを促進します。
また、町民の消防・救急業務に対する意識高揚を図り、協力体制の強化、人身事故や火災の未然防止など町ぐるみの取り組みを推進します。

10 交通安全
自動車社会の進展にともなって、ますます交通安全対策の強化拡充が求められています。
今後とも「交通死亡事故ゼロの町宣言」を町民をはじめ広く内外にアピールし、地域ぐるみの交通災害防止運動を推進します。
町民に対して、交通道徳の周知や交通安全知識の普及・啓蒙に努めます。また、歩行者を優先した道路整備や安全施設の改善などをすすめ、安全な交通環境づくりを推進します。

11  防犯
社会情勢や地域環境の著しい変化にともなって、多様な犯罪が発生するなど、町民の防犯対策への要望が強まっています。
犯罪を未然に防止し、明るく健全な地域社会を築くため、防犯協会や関係機関、各種団体などの協力のもとに、全町民が一体となった防犯活動を展開します。
町民に対して防犯知識の普及に努め、地域活動の一環として日常的な環境浄化運動の促進を図ります。また、今後とも地域の実情や町民からの要望に対応して、防犯施設の整備を推進します。

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大分類 テキスト
資料コード 008443
内容コード G000000592-0002
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第154号(1990年5月)
ページ 2-4
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1990/05/10
公開日 2023/11/27