なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

シリーズ② まちの明日を考える

第一章 めざすべき将来像
佐敷町の将来のまちづくりへ向けた動きが、いま、着実に進んでいます。住民の意思の反映するまちづくり、快適で潤いのある佐敷町の実現をめざし、さまざまな角度からの検討が加えられています。第1次基本構想から第2次基本構想へ。恵まれた自然を生かしたまちづくりは、今後どのような方向へ…。

本町は、昭和52年度に基本構想を策定しました。この基本構想では、5つの理念をかかげていますが、今度の第2次基本構想の策定にあたっては、この理念を基本にその後の地域や時代の変化を勘案して、次の5つの理念をかかげ、町づくりを推進します。

第一節  町づくりの理念
①自然を大事に守り育てる町づくり
②教育を大事にする町づくり
③農業・水産業を主軸としつつ産業の多様化をすすめる町づくり
④高齢者や子供たちを大事にする町づくり
⑤歴史と文化をもとに町民の創意による町づくり

第二節  将来像
21世紀へむかって時代は大きく変わりつつあります。激動の昭和の時代は終わり、平成の時代がはじまっていますが、時代の趨勢も予測しがたい状況です。しかし、着実に国際化、情報化、高齢化、技術革新といった時代の大潮流は押し寄せてきています。この時代潮流のなかで、本町の地域特性に根ざした町づくりを町民とともに明確な円標をかかげて積極的に推進します。
すでに、本町をとりまく情勢も急速な展開をみせています。厚生年金体暇センターが本町に建設が着手され、本格的なシルバーリゾートヘの契機となっています。また、本町の海岸を含む中城湾港南部地域ではマリンタウンプロジェクトが計画策定され、海辺のまちづくりをめざしたマリンリゾートの展開が期待されています。さらに、全国的にリゾートが新しい時代の産業やライフスタイルとして、注目され、沖縄はとくにマリンリゾートに大きな期待がよせられています。
また、本町の産業や生活も大きな変化を経験しています。産業では、とくに農業でさとうきびが厳しい展開となっている反面、野菜や花卉が浮上し、付加価値の高い作目へと多様化が進展しています。商業・サービス業もしだいに充実しつつあります。さらに、生活面では道路交通網の発達や自家用車の普及により、広域的な行動が日常化しつつあります。旅行や行楽、スポーツ、イベント、外食機会の増加など町民生活の多様化と広域化がすすんでいます。
このような内外情勢の変化と時代の潮流のもとに、本町の可能性を最大限に掘り起こし、力強く飛躍することが期待されています。21世紀へとはばたく本町の将来像として「自然との調和、活カある健康のまち佐敷」を設定し、この旗頭のもとに、町民とともにその実現にむけて英知と努力を結集していきます。そして、この将来像をささえる5大ビジョンを次のように設定します。
  ①佐敷シーガーデン構想
  ②全町植物園化構想
  ③コミュニティ・ネットワーク構想
  ④ヘルシータウン構想
  ⑤佐敷・ルネッサンス構想

1 佐敷シーガーデン構想
マリンプロジェクトの一環として佐敷シーガーデン構想が打ち出されており、その実現にむけて内外の活力を結集します。海へと展開する町民の新しいライフスタルを育てるとともに、近郊都市住民やリゾート客の活動の場を促進し、快適なリゾート環境を形成します。とくに、厚生年金休暇センターとの関連に注目し、健康な高齢者のためのシルバーリゾートの形成に努めます。
そして何よりも重視していることは、公園、センター地区、海浜住宅など町民のための環境づくりです。町民が海浜の快適環境のなかでくらし、海と親しむ生活の実現を促進します。まさに、この構想は町民にとってのシーガーデンづくりであり、町民のライフスタイルを基本にマリンリゾートが構築されることを期待しています。
佐敷シーガーデン構想―そこでは町民とリゾート客が相互に交流し、海と親しむライフスタイルの実現の場となることをめざします。

2 全町植物園化構想
本町は、ニューカントリーと呼ぶにふさわしいところに立地しています。丘陵、海岸、農地、集落に緑があふれ、陽に映えた美しい景観をつくり出しています。丘陵や斜面地は森林があって深い緑に包まれています。とくに、斜面地にはデイゴが植栽され、やがて真紅の花ざかりの森となることが期待されています。
集落も屋敷林や庭園がいちだんと整備され、花に囲まれた環境づくりをめざします。市街地でも壁面緑化やベランダの花鉢などで潤いのある町づくりを促進します。
農業も花卉園芸を奨励し、フラワーラインのある町づくりをめざします。植木市などを開催し、南部観光の立ち寄り拠点づくりを促進します。何よりも町民が植物を愛し、花を賞でる心を養い、町全域が花と緑のネットワークで結ばれる環境を形成します。全町植物園化構想―町民の理解と協力によって緑と花をふやし、屋敷と屋敷、集落と集落、市街地、道路沿線がすべて花と緑で結ばれる町づくりをめざします。

3 コミュニティ・ネットワーク構想
濃密なコミュニティが本町の特性のひとつですが、これを町全体にネットワークしていくことが大切です。それぞれの集落がそのなかだけで交流するのではなく、集落間の交流、町域にわたっての交流が望まれます。
それだけに、ハード面では集落間を結ぶ快適性にあふれた道路づくりやスポーツ施設、集会施設、文化施設等の整備を推進します。  また、ソフト面では祭りやイベントによる集落間の交流、町内各界各層の交流、文化活動、スポーツ活動等の促進に努めます。
このように、施設面でも、活動面でも町全体にコミュニティのネットワークがはりめぐらされ、町民の生き甲斐と創造的活動を促進していくことは、町づくりの最大の眼目といえます。
コミュニティ・ネットワーク構想-町民の交流を促進し、相互に信頼と協力でむすばれ、明るく活動的な町づくりをめざします。

4 ヘルシータウン構想
21世紀は、人生80年時代の長寿社会に移行します。それだけに、町民が健康で、安心して生活できる地域づくりが期待されます。連帯の精神を培い、福祉の風土づくりを促進し、生き甲斐にみちた生活の展開に努めます。
福祉のまちづくりの拠点として厚生年金休暇センターの機能を町の発展にむすびつけ、町内の高齢者との交流を深めるとともに、シルバーリゾートの拠点施設としての活用を促進します。もとより、町内の福祉施設の整備にいっそう努めるとともに、福祉活動の充実を図っていきます。さらに、本町はこれまでも健康づくりに鋭意とりくんできましたが、今後、いっそうスポーツ施設や公園などを整備し、健康づくりを促進します。
ヘルシータウン構想-自助の精神に支えられた福祉の風土づくりをすすめ、健康で生きがいにあふれたまちづくりを推進します。

5 佐敷・ルネッサンス構想
本町は、先人から継承された豊かな歴史や文化を有しています。三山を統一した尚巴志ゆかりの土地で、町内各地に有形・無形の歴史的・文化的遺産が現代になお脈打っています。これらの歴史・文化遺産を大切にし、まちづくりのバックボーンとすることが期待されます。
また、単に歴史的遺産だけでなく、同時に現代が生み出した多くの文化を大切にし、未来のための文化づくりにも努めることが望まれます。町民の生活の中から創意工夫される文化を育て、活力にあふれたまちづくりを実現します。すでに、100日シンポジウムや町史づくりなど多くの文化的営為が展開され、脈動しています。
歴史・文化的風土づくりをめざして、行政センターを形成し、町民の文化活動や多面的な活動などの拠点づくりを推進します。
佐敷・ルネッサンス構想-すべての町民が歴史・文化に誇りをもち、創造的な活動を展開するまちづくりをめざします。

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大分類 テキスト
資料コード 008443
内容コード G000000591-0002
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第153号(1990年4月)
ページ 2-3
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1990/04/10
公開日 2023/11/27