いまや世界的な潮流となっているといっても過言ではない自然保護、育成の考え方。地球の温暖化にはじまり世界各地で観測、記録される異常気象は、自然の現在の姿と無縁ではないという。各種産業が生み出す廃棄物、ガス、乱開発による自然破壊と、さまざまな要因が重なって、今日の地球の姿があるといわれる。
その判断は専門家にまかせる以外にはないが、自然に接する心、自然を愛する心が私たち1人ひとりにあれば、少しでも今日の自然破壊にストップをかけられるのではないだろうか。ふるさとの緑に接し、碧い海に接し、自然のよさを知れば、おのずと自然保護の心も湧いてくると信じているのだが。
その意味で、本町が出版した『佐敷町史 三 自然』はタイムリーな1冊となったのではないだろうか。幸い各方面から高い評価を得ており、その利用価値も大いにかわれている。
自分の住む地域の自然に接していくための案内書としても評価されており、さらに、佐敷町という限られた範囲内ではあるが自然をありのままに記録したという学術的価値、資料的価値も認められている。
町史の分冊の学習篇などは、実に親しみやすく編集されている。例えば、小谷の森に親しむという1項などは、ふるさとの自然を知るための手がかりとしては最適である。長期間の調査と執筆にあたられた皆さんにあらためて敬意を表したい。ぜひご一読を……。 (町長)