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平成元年度  施政方針 (全文)

はじめに
平成元年の新しい時代の幕開けを迎え、第68回佐敷町議会の開会に当たり、提案いたしました諸議案の説明に先だち、今後の町政運営についての所信の一端を申し述べ、本町のさらなる発展、町勢の拡充のために、議員各位をはじめ、町民の皆さまのより一層のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
現在、わたくしは町政の運営にたずさわりまして、この9月の任期をもちまして4期16年を迎えようとしております。この間、「平和で明るい豊かなまちづくり」を町政運営の基本理念とし、諸事業の推進、町勢の拡充を図ってまいりました。町民の皆さま1人ひとりの「まちづくり」への意欲と情熱という何ものにもかえがたい貴重なお力添えがあり、社会福祉の基盤づくり、農業基盤整備の進展、馬天小学校の開校をはじめ今年度着工されました佐敷中学校の増改築等教育環境の整備、生活環境の整備、充実等々任民生活に直結した諸施策を着実に推進してまいりました。
町民の意思と参加をまちづくりの墓盤とした町民主体の町政運営は、健康づくり事業をはじめ幾多の成果を上げ、全国的な評価を受けるに至っております。更に、本町の豊かな自然の保護・育成をめざした造林事業等も大きな評価を受けております。
このような数多くの成果は、何よりも町民の皆さまの和と力の結晶と確信いたしております。今後ともこの実績と成果を生かし、豊かな活力に満ちた、明るく住み良い佐敷町の発展を図ってまいる所存であります。
さて、わが国の経済情勢は近年の円高等を背景に内需主導型の経済成長が実現しておりますが、様々な問題を生じ、地域経済の発展にとりましても多くの課題が生まれてきております。一方、本県経済については、構造的に対外依存度が高い状況にあり、引続き生産基盤の強化を図るなど、自立的発展の基礎条件の整備、経済の持続的成長に努める必要があると考えております。現在、復帰特別措置の継続による高率補助がなされているとは申せ、地方財政における補助の効率的運用の必要性はますます深まっております。今後さらに、財政運営はもとより事務事業の効率化を図り、本町の民生、産業、経済の活性化、振興発展のために鋭意努力してまいりたいと考えております。
本町の「まちづくり」の基本理念の実現化は、町勢の発展のみならず、町民の皆さん1人ひとりのふるさと意識の高揚にもつながり、活力に満ちた潤いのある「ふるさとづくり」がさらに進展していくものと確信いたしております。町民各層からのご意思を反映させる町政の運営に努め、また、諸事業、諸施策の推進にあたっては町民各層のご理解とご協力を得た展開に引き続き努力してまいります。
本町の発展を念頭に、町政運営の基本をあらためて確認するとともに、行財政改革を推進し、行政の簡素化・効率化に努め、住民の福利厚生を図ることに最大の努力を払ってまいります。

基本施策
本町の発展は、将来像を見すえたものでなくてはならず、また、町民の皆さんはもとより関係各位のコンセンサスに基づいたものでなくてはなりません。新年度も、住民のニーズ、本町の現況を正確に把握し、総合的な視野に立って諸事業、諸施策を積極的に推進してまいります。さらに、効率的な財政運営を図り、限られた財源の有効かつ最大限の活用に努めてまいります。
近年、本町を取りまく社会情勢は、厚生年金休暇センターの建設をはじめマリン・タウン・プロジェクト等により、大きく変化しようとしています。このような中、新年度においては「佐敷町第2次総合計画」を策定し、今後のまちづくりの総合的かつ計画的な町行政の基本的な方向を明らかにしてまいる所存であります。
基本計画、実施計画をより具体化し、また、調和のとれたまちづくりを推進してまいりたいと考えております。
町政運営の基本的な方向といたしましては、「産業」「教育・文化」「福祉・保健衛生」「生活環境」等を柱に、「夢ふくらむ郷土「学び、伸びる町」「思いやりと健康の里」「希望に満ちたふるさと」をキャッチフレーズとしたまちづくりを進めていく所存であります。
まず1番目の「夢ふくらむ郷土」については、本町の基幹産業である農業の振興、発展、農村生活のさらなる向上のために諸事業を積極的に推進し展関してまいります。浜崎地区土地改良事業、農村総合整備モデル事業、沖縄新農業構造改善緊急対策事業ってまいります。
畜産業、水産業、商工業の振興も本町の発展にとって欠かせないものであり、その振興にあたっては関係諸団体の協力を得、経営規模の拡大、経営体質の強化を図り、地域の活性化を促進してまいります。
2番目の教育に関しての「学び、伸びる町」づくりは、新年度も教育の町・佐敷の伝統を受け継ぎ、教育・文化の一層の振興を第1の基本としてまいります。学校教育施設の拡充と教育条件の整備に努めつつ、町民総参加の学力向上推進を確立するほか社会教育、社会体育の充実を図ってまいります。
ふるさと意識の高揚、郷土愛を育むために、伝統文化・芸能等の継承に力をそそぎ郷土文化の保護、育成と取組んでまいります。
第3の「思いやりと健康の里」づくりでは、健康で安らぎのある福祉基盤の充実を図ってまいります。新年度も地域の福祉への理解を深め、「福祉の風土づくり」を基本に福祉施策を展開してまいります。また、健康づくりにおいては、これまでの実績を踏まえ、さらに充実、発展を図るために「健康のまち、福祉のまち宣言」をいたしたいと考えております。
4番目の「希望に満ちたふるさと」づくりでは、地域環境の整備、道路改良事業、緑地公園等の整備に力点を置き、地域のコミュニティーづくりを図ってまいります。住み良い町、安全な町、潤いのある佐敷町づくりをめざし、地域住民の意思の反映した諸施策の推進を図ってまいります。
さらに、ふるさと創生事業は、それぞれの地域における多様な歴史、伝統、文化、産業等を活かし、独創的かつ個性的な地域づくりがねらいであり、このような趣旨を踏まえ、本町においては、地域特性を光り輝かせる総合的な文化事業に取組んでいく考えであります。

1、夢ふくらむ郷土
産業の活性化は、生産の基盤整備に加え人的な開発も必要であります。
農業をはじめ諸産業につきましては、今後ともハード、ソフト両面の充実化をめざし諸施策を推進し、将来の展望が開ける取組みを図ってまいります。
農業生産基盤整備は基幹産業の活性化をうながし、ひいては諸産業への刺激となってまいりますので、これまで同様力を入れてまいる所存であります。また、産業まつりを開催して地場産業の育成、生産者の意欲の向上を図ってまいりたいと書えております。
昭和56年度より開始されました津波古地区士地改良事業は、62年度をもって全て完了し、農地の効率的利用が図られておりますが、この実績と成果を踏まえ、浜崎地区士地改良事業も今年度同様推進してまいります。新年度は11ヘクタール、9000万円の事業を予定しておりますが、これは予算規模でみますと今年度比1・5倍の伸びをみせております。とりわけ、農業と農村の健全な発展を実現するためには、その基礎的条件である農業生産基盤の計画的な整備が肝要であり、農業の生産性、農家生活の向上のため基盤整備事業には今後とも力を入れてまいります。
ほ場整備、かんがい排水、農道整備等を行なってまいりました沖縄新農業構造改善緊急対策事業につきましては、今年度は兼久農業構造改善センターが設置されましたが、新年度は同事業の枠内での基盤整備を進めるとともに、事業の趣旨にのっとった施策を推進してまいりたいと考えております。
貿易枠の拡大など今日の農業情勢に即応できる安定経営をめざし、農業振興地域整備計画を今年度内に策定いたしまして、新年度の6月には認可の予定ではありますが、農業関連施策の総合的、効果的な推進を図ってまいります。
土砂崩壊防止事業、農地保全事業は新年度も継続して実施し、農地及び農業施策、農産物の被害防止を図り、生産性の向上に努めてまいります。さらに、実施されてから4年目を迎え、これまで約1億6000万円が投じられました農村総合整備モデル事業は、新年度も引き続き農道、集落道等の整備を進めてまいる考えであります。
昭和53年の事業開始以来、着実な進展が図られております造林事業は、すでに73ヘクタールを完了し、今年度は県段階で造林事業部門の表彰を受けております。新年度は約31ヘクタールの保育に力を入れて今秋に予定されております第13回県育樹祭の開催の成功に向け努力してまいります。
後継者の育成等が課題となっております水産業ですが、MTP構想、佐敷シーがーデン構想と関連性を持たせた水産業の振興計画の検討を進めてまいりたいと考えております。
また、諸施設の高度利用、生産組織の育成強化を引き続き図ってまいります。
畜産業は貿易自由化等で大へん厳しい状況下にあるといえます。このような中、健全な発展をめざすために新年度も獣医師を委託し、畜産共進会の開催にも力を入れ、経営の安定、生産意欲の向上に努めてまいります。
商工業につきましては、これまで同様に町商工会の振興発展計画に協力し、商業圏の拡充、地域特性を生かした商工業の発展、育成に努めてまいります。

2、学び、伸びる町
教育・文化のまちづくりは、本町の重要施策のひとつであり、教育環境の整備はもとより、社会教育の拡充、社会体育の普及・振興、郷土文化の保護、育成等に新年度も力をそそいでまいります。教育の町としての高い評価、その伝統に恥じない取組みを展開する考えであります。
今年度から着工されました佐敷中学校校舎の新増改築工事は継続し、引き続き現校舎の解体・撤去工事、周辺フェンス工事、運動場を含む屋外環境の整備を新年度で行なってまいります。佐敷小学校の遊具設置等屋外環境整備、馬天小学校図書室の冷房設置も新年度で実施いたします。
現在効果を上げつつある外国人英語教師は引き続き配置してまいります。
新年度は児童・生徒の学力向上対策に力点を置き、学力向上対策委員会の活動強化、各校の図書の充実等を図り、教育委員会、学校、PTAの3者の連携で成果を上げていきたいと考えております。
また、青少年育成町民会議の活性化にも積極的に取組んでまいります。
従来のスポーツ、夜間補導等の活動に文化活動を加え、バランスの取れた事業としてまいります。そのために、専門部会を設置し活動を展開してまいります。
前年度、今年度の道徳教育研究校としての成果は高く評価されており、今後この成果を家庭、地域へと広げ、実践していかなければならない段階と認識しておりますので、今日までの投資が無駄にならぬよう新年度も継続して道徳教育を推進してまいります。
社会教育の拡充は社会の求めるところであり、生涯教育態勢の確立に向け努力してまいります。女性学講座、高齢者学級、青年学級、婦人学級、陶芸教室等を開催し、町民各層の学習機会の拡充を図ってまいります。また、社会教育団体との連携を強化し、社会教育の幅、質の向上に努めてまいりたいと考えております。
社会体育の振興につきましては、体育指導委員の充実・強化に努め、健康づくり町民運動会、各種講習会を開催し、さらに、テニス、バドミントン、ジョギング教室等の開設によってスポーツの普及を図ってまいります。
郷士文化の保護、育成のために、今年度開催しました文化展を継続して開催し、その成果と意義をさらに高め、また、ふるさと創生事業との連携を保ち、その効果を上げてまいりたいと考えております。
本町は第一尚氏発祥の地であり、史跡、文化遺産が数多く残されております。先達が残したこれらの遺産を保護し、広く町民に知ってもらうためにこれらの調査を新年度も継続し、その成果を公にするために、近々、第一尚氏写真集として発刊することも考えております。
『佐敷町史 三 自然』を近々発刊いたします。町域の自然調査に基づいた本篇は、自然学習の教材、町の諸計画立案の原資料としても活用できるものであり、佐敷町を理解する上で貴重な資料となっております。新年度は三巻目の『戦争・移民体験』の編さんに向け新たなスタートを切ってまいります。
『佐敷町史』は、その編さんの基本方針である「町民による町民のための町史づくり」を基本として多くの町民の皆さんの手によって今後とも続刊する考えであります。

3、思いやりと健康の里
本町はこれまで「福祉の風土づくり」をめざし、地域社会における温かいふれあい、相互扶肋精神の涵養を進め、総合的な福祉環境整備を図ってまいりました。今後は、高齢者の生きがいと健康づくりの推進、心豊かな子どもの育成と家庭基盤の充実に力点を置き、諸施策を推進してまいります。幸い、町社会福祉協議会、町民生児童委員協議会をはじめとする福祉関係諸団体との連携強化が着実な成果を上げ、安らぎと生きがいの生まれる福祉社会の実現化が進んでおります。
しかしながら、進展する高齢化社会、福祉ニーズの多様化の中にあって限られた財源の中、より高度な福祉社会の実現のためには、1人でも多くの町民の福祉活動への自主的な参加が望まれております。新年度におきましては、福祉ニーズの的確な把握に努め、適切かつ迅速、より高度な福祉の具体化に努めてまいります。また、地域福祉の強化、充実と福祉意識の高揚をはかるため、関係諸団体、ボランティアの育成にも取組んでまいりたいと思っております。
昨今、老人・障害者福祉対策の中で特に在宅福祉の強化、充実が望まれており、本町においても保健婦活動の強化、介護者の育成、看護教育の充実を図ってまいりました。今後はさらにこれらの取組みを積極的に推進し、また、地域住民の皆さんの理解と協力をいただき、在宅福祉の強化に努めてまいります。
国民年金事業は、これまでの国民年金制度の意義の周知徹底の成果が徐々にではありますがあらわれ、納付率も上がっております。新年度も、急速に進む高齢化社会のもと、町民生活が損われることのない社会の実現をめざし、相互扶助の精神を訴え、無年金者の発生を防ぐ取組みを推進してまいります。さらに、各種年金の存在意義もあわせて周知徹底し、健全かつ安定した生活の維持の実施のため、諸事業、活動の推進に努めてまいります。
健康づくり事業につきましては、長寿化、高齢化の中、人生を健康に充実して週せるように生涯を通し自分に適した健康管理、健康づくりを基本に推進してまいります。町民各年齢層が健康に関する自己責任の自覚と認識を深め、健康づくりに取組めるよう総合的な健康づくり対策を進めるとともに、日常的な健康管理サービスから専門的かつ高度なサービスを受けることができる供給体制の確立を図ってまいりたいと考えております。
新年度は、今年度の取組みをさらに充実させていくとともに、栄養教室修了者を「国民の健康づくり推進実施要綱」及び「婦人の健康づくり推進事業等実施要綱」に基づき、地域における健康づくりの案内者として推進員に委嘱し、地区分担の健康づくりの充実に努めてまいります。
昭和55年に設置されました健康づくり推進協議会を出発点として、本格的な住民の住民による健康づくりが進められてきました。健康づくり推進大会や健康まつりは回を重ね、健康シンポジウムの開催、住民検診の充実、強化、医療機関等による健康調査の展開により本町の健康づくりのスローガン「自分の健康は自分で守る」という予防医学の普及徹底、具体化が図られてまいりました。この実績は、昭和62年9月、第20回全国保健衛生大会における公衆衛生部門での県下初の厚生大臣表彰となりました。この成果、内外からの評価を基盤に、さらに町民一丸となった健康づくりを推進し、明るく快適な暮らしを築いていくために、新年度では「健康のまち、福祉のまち宣言」をいたしてまいります。

4、希望に満ちたふるさと
本町の将来像を見すえた生活環境の整備を考える上で、急速に進む都市化、人口の増加と混在化は多様なニーズを生じております。調和と活気に満ちた、希望の持てるまちづくりをめざすために、これまで以上に地域住民の多様な要請に、行政としては応えていかなければなりません。
これまで地域の活性化に直結するといわれるコミュニティーづくりに努力し、冨祖崎公園、新開公園、屋比久児童公園、つきしろ児童公園、新開児童公園を整備し、昭和63年度には津波古児童公園も整備完了いたしました。海邦国体開催にともない整備されました新開球場、新開多目的広場も含め、いずれも町民の健康増進、スポーツの振興、地域のコミュニケーションの場として大きく役立っているものと信じております。今年度においては、手登根の学習等共用施設も設置され、地域に大いに貢献するものと期待されているところであります。新年度は、地域住民の健康増進に役立ち、かつ地域活動の拠点ともなる勤労者体育施設等を設置する考えであります。
また、県指定天然記念物「ハマジンチョウ群落」を囲む冨祖崎緑地公園の整備を行ない、児童・生徒の自然学習の場、地域住民の憩いの場を提供していく所存であります。
沖縄対米請求権事業につきましては、今後とも実施し、佐敷児童公園の整備、一大イベント化しつつある「佐敷ハーリー」に使用する爬竜船の倉庫等を設置し、コミュニティーづくりに役立ててまいります。つきしろの街連絡道路は、予備調査であります概略設計が間もなくでき上がりますので、その結果をもとに各関係機関に働きかけ、道路取りつけの方向性が見い出せるよう鋭意努力してまいります。
今年度から導入しました地方改善事業は新年度も継続して進め、手登根、津波古地区の集落内道路の整備、側溝の改修を実施し居住環境の向上に努めてまいります。失業対策事業につきましては、引き続き行なってまいります。
懸案となっております幹線道路以外のつぶれ地補償問題は、国・県の方針に基づき、本町の実情も十二分に勘案いたしまして積極的に解決を図ってまいりたいと考えております。
工事中は近隣住民を含め利用者の不便をかこっておりました県営の県道37号線の歩道設置工事は完了し、従来のイメージを一新いたしております。
昭和61年度から開始されております佐敷地区内の県営の護岸工事は、今年度で兼久地先の工事を終えましたが、引き続き新年度も佐敷地区内における工事は行なわれることになっております。
心豊かなふるさとづくり運動は、これまでの成果を踏まえつつ、組織の充実、強化をはかり、引き続き活発な活動を展開してまいりたいと考えております。
町民の安全な暮らしの創出と事故防止に向け、交通安全対策が実施されておりますが、新年度も継続して実施し交通事故のないまちづくりに全力をあげてまいります。昨今、県下では異常な交通死亡事故の発生をみておりますが、本町においては、「交通死亡事故ゼロの町宣言」を広く内外に訴え、交通道徳の周知徹底を図っており、今後も事故抑止に積極的に取り組んでまいります。
水道事業の運営につきましては、これまで給配水管の改良および整備等を行なってまいりましたが、本町には、高台地域対策や給水人口、使用水量の増に伴う小口径管地域の給水不良の解消、老朽給配水管の改良など、これから整備しなければならない事業が山積しております。
そこで新年度は、町の水道事業整備計画に基づき、老朽化した配水管の改良工事を柱として、高台地域対策、給水不良地域の解消に努め、町民が等しく水の思恵に浴せるよう最大の努力をしてまいりたいと考えております。

おわりに
以上、新年度の町政執行の基本方針ならびに施策の大綱について申し上げてまいりましたが、地方財政はなお厳しい状況下にあり、町政の運営にあたっては一層の努力が必要であります。事務事業の見直しをさらに進め、行財政の簡素化、効率化を図り、職員一丸となって町政運営に当ってまいる決意でおります。議員各位、町民の皆さまのご協力を切にお願い申し上げる次第であります。
さて、わたくしは昭和48年9月、村長就任以来これまで町政の運営にたずさわってまいりました。この間、町民の皆さまの心からのご協力を得、今日の町勢の発展をみることができました。あらためて町民の皆さまはじめ、議員各位に感謝を申し上げたいと思います。
特に産業の振興に関しましては、土地改良事業の推進をはじめ造林事業、農地保全事業の実施、水産業近代化施設の落成、農村総合整備モデル事業の着手等、大きな歩みをしるすことができました。
教育・文化面におきましては、馬天小学校の分離新設、佐敷中学校新増改築工事をはじめ教育環境の整備も年々着実に進展いたしております。
福祉、健康づくりでは、町立第1・第2保育所の開設、老人福祉の拠点・町老人福祉センターの開設、町民主体の健康づくり事業の推進、そして、町民待望の厚生年金休暇センターの誘致決定・着工等々の実績を上げることができました。
まちづくり、コミュニティー育成、環境整備関係も飛躍的に進み、本町の誘れる実績となっております。まちづくりでは、心豊かなふるさと事業の推進、農村総合整備計画の策定、そして、本町の将来像をおしはかることができる佐敷シーガーデン構想の策定等多くのものがございます。
コミュニティー育成・環境整備では、冨祖崎公園、新開球場、各児童公園の整備によって多くの成果を上げ、伊原・仲伊保・屋比久の各コミュニティー施設の整備も所期の目的を達しているものと考えております。
本町の歴史に残る一大イベント・海邦国体軟式野球競技少年男子の開催の成功は、町民の皆さんにとりましても記憶に新しいものと存じます。
このような本町の歩みは、関係各方面においても大きく評価を受け、優良町村全国表彰、公衆衛生団体部門での県下初の厚生大臣表彰等々栄誉あるおほめをいただいております。
着実な発展、将来の展望が開ける町勢の進展をみせております本町は、今後もこの歩みを続けていくものと確信いたしております。
以上、これまでの町政運営の成果を含め、新年度の施政の方向、説明を申し述べましたが、慎重なご審議をいただき議決を賜り、町民の皆さまのご理解とご協力を心よりお願いいたしたいと存じます。

平成元年3月13日   
佐敷町長 山城時正

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大分類 テキスト
資料コード 008442
内容コード G000000576-0022
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第141号(1989年4月)
ページ 7-11
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1989/04/10
公開日 2023/11/26