津波古 志村政子
所変われば品変わるで、中国を訪問して困ったことといえば、ホテル外のトイレの使用である。トイレには「ドア」がないと聞いていたが、その通りであった。風習とはいえ尻込みしてしまった。
次に中国の通貨についてであるが通貨は人民幣と呼ばれ、単位は元、角、分の三つで、元は圓と記されていた。二重為替制度が用いられ、外国人旅行者は、人民幣ではなく中国銀行発行の兌換券を使用する。
兌換券の種類は、100元、50元、10元、5元、1元、5角、1角の七種類あった。兌換券も人民幣も単位は同じであるが、人民幣は日本円に両替えができないとのことで注意があった。余談になるが、こんなエピソードがあった。
故宮博物院見学の時のこと。生水は飲まないようにと注意があったので、本町から参加したSさんはジュースなら良いであろうと、10元を出して喉を潤した。ジュース一本に対して片手いっぱいのおつりが来たのに驚いたSさん、「これはダメ、これはダメ」と手を振って受取りを拒否した。人民幣だったのである。
けげんそうにしている売子に、1元を取り出し、これでジュース二本が買えるかとジェスチャー入りで聞いた。頭を縦にふったので元を渡して、先の10元を返してもらった。おつリを渡そうとしていたが、Sさんは受取らなかった。
ジュース1本がいくらしたかは知らないが、1元、35円でジュース二本が買え、さらにおつりがあるのだから驚きであった。
福州では、琉球人墓を訪ねお参りした。墓は大小七基あって、どれも亀甲をかたどっていた。墓には氏名のほか出身地等も刻み込まれてあった。婦連役員の方が準備し持って行ったお酒、花、線香を供え《祖先の御霊よ安らかに》と心をこめて合掌した。琉球人墓は、中国の皆さんの管理が充分に行き届いていた。
6月17日、憧れの北京見学である。中華人民共和国の首都、政治の中心である北京の全面積は、16800平方キロメートルで、人□は一千万人とのこと。北京には、天安門広場、故宮博物院、明の十三陵、万里の長城と、世界に誇る数々の名所旧跡が集中していた。
北京にふれ初めて大国中国を感じ胸もワクワクときめいた。世界最大を誇る天安門広場では、その壮大さをカメラにおさめることができた。五分間という短時間ではあったが、中国の文化の偉大さを感じたひと時となった。
故宮博物院では、映画「ラストエンペラー」の画面と重ねながら堪能した。最後は憧れの万里の長城への登頂であった。
長城には登り口が右、左二つあって、左手は勾配がきつく男性コース右手の方は距離はあるが登りやすいので女性コース。右を選び進んだが中腹位から坂もけわしくなり、引き返す人も多かった。一歩一歩踏みしめ頂上を目指したが、風邪気味で体が重く、頂上目前で征服を断念した。それにしても雄大な長城の風景には心を打たれた。
今回の中国ふれあいの旅に参加し大きなことを学ぶことができた。中国の文化、教育、婦人達との交流により、これまで未知の世界であった中国を知り、特に中国婦連副会長の「女性がなければ人類もなく、世界もない。女性が中心となって両国の友好を深めよう」との力強いあいさつに、中国女性の強さを感じた。
姿、身なりは質素で、貧しささえ感じさせる現在の中国ではあるが、「天の半分は女性が支える」と、男女平等を地で行く女性の活躍には目ざましいものがあった。
「真の友好は相手をよく知ることであり、他国を見て自国を知る」を学ぶよい機会であった。 おわり