はじめに
昭和63年第60回佐敷町議会定例会の開会にあたりまして、本日ここに提案いたしました昭和63年度予算、ならびに関連する諸議案のご審議をお願いするのに先立ち、町政運営にあたっての私の所信と昭和63年度の施政方針の概要を申し上げ、議員各位ならびに町民の皆さんのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
魅力的なまちは、何よりも町民生活の向上と安定の上に築かれるものであります。本町におきましては、町政運営の基本理念に「平和で明るい豊かなまちづくり」を掲げ、町民が考え、町民が参加できる、町民主体のまちづくりを進めております。
恵まれた豊かな自然、そこに育まれた豊かな人情は、本町のまちづくりに大きな力となり、さまざまな成果となってあらわれております。佐敷町の今日の発展は町民の皆さんひとり一人の力の結晶であります。健康づくり事業をはじめ、その成果は全国的に大きな評価を受けるに至っております。
半世紀に一度の大イベント、第42回国民体育大会「海邦国体」も、そうした町民の皆さんの和と協力、関係各位のご努力によりましてつつがなく終了し、佐敷町民の力の偉大さをまさに実感することができました。海邦国体の成功は私たち行政をあずかる者にとりましてもかけがえのないものを残してくれました。国体成功へ向けての町民の皆さまのご理解とご協力は今後の町政運営にとりまして、これほど強力な味方はございません。町民主体、町民参加のまちづくりを推進いたしております本町にとって、まさにこの成果は将来の佐敷町の発展にとって偉大なる力となってまいります。
町民の皆さまのご協力とあふれんばかりの郷土愛をまちづくりのエネルギーとし、魅力ある佐敷町の進展を更に図ってまいります。
ところで、現在、わが国の経済情勢は、他先進国同様、原油価格の安定、物価の落ち着き、金利の低水準化、進展する技術革新等、比較的おだやかな向上は見られるものの、貿易摩擦や円高不況等、厳しい面があります。農産物の自由化ひとつをとりましても、その対策には緊急を要するものが山積している状況と申せます。
これらの状況は、地方財政へも直接、間接影響を及ぼし、依然として厳しい現実が続いております。復帰特別措置等による高率補助が継続しているとはいえ、地方財政における補助の効率的な運用が今ほど強く求められている時はありません。本町の発展にとって健全な町財政の運営は、将来を見越したものでなくてはならず、町民の皆さんはもとより関係各位の総意に基づくものとしていかなければなりません。事務事業、財政運営の効率化をより一層推進してまいります。
「平和で明るい豊かなまちづくり」は、地城住民の和と力、そして、行政のきめ細かな施策によってよりその成果を高めることができます。健康で、豊かな生活の構築のために、今後とも町民各層からのご協力、ご意見を期待しているところであります。佐敷町の発展のために、町政運営の基本をあらためて確認し、諸事業、諸施策の推進にあたっての糧とし、まちづくりの進展に力を尽くしてまいりたいと決意いたしております。
ところで、今年の1月には、関係各位のご推挙によりはからずも県町村会会長に就任いたしました。町長としての職務に新たな職務が加わり、議員各位をはじめ町民の皆さまには何かとご迷惑をおかけするかも知れませんが、微力ながら町村会の発展と更なる充実に尽力する決意でおりますので、この重責を全うできますようご理解とご支援を重ねてお願い申し上げます。
基本施策
本町は、これまで町民各位はじめ多くの関係者の協力と努力によりまして、地城の活性化、振興を図るためのまちづくりを着実に進展させてまいりました。将来の佐敷町を見据え、町民の皆さんの多大なる英知を結集し、地域特性を最大限生かした魅力的まちづくりと取り組み、行政側もその成果が最大限生きることを念頭に行財政の運営を図ってまいりました。新年度もこの姿勢を堅持し、財政計画を策定の上、予算の効率的な執行を強力に図ってまいる所存であります。
新年度は特に、海邦国体の成功でかち得た町民の皆さんの和と力、その実績をより強固なものとするための努力をしてまいりたいと考えております。町民の皆さんの連帯と活力を、本町のまちづくりに最大限に生かす努力をし、ふるさと意識の更なる高揚を図ってまいります。
また、本町の地城特性が十二分に生かされると考えられます「マリンタウン・プロジェクト構想」の具体化のための施策を検討し、本町の進めるまちづくりと相まって総合的なまちづくりの指針となる総合計画の基本構想づくりを推進し、自らの企画による、自らの創意工夫をしてまいりたいと考えております。その策定に当っては関係各位、町民の皆さんのご意見を十分に考慮した、将来の佐敷町の発展にとってエネルギーとなるものとしてまいります。
新年度における町政運営の方向性は、町民本位の町政を基本とし「豊かな郷土 希望の里」「文化の里 学びの町」「明るい生活 思いやりの町」「潤いある安らぎの町」という四つの柱の下、まちづくりを推進し、産業、教育・文化、福祉、健康、生活環境等の整備など全般にわたって行政需要に応えてまいりたいと思っております。
本町は、農業を基幹産業としており、新年度におきましてもその基盤整備に力点を置いてまいります。昭和62年度完了いたしました津波古土地改良区のその後の成果を踏まえ、今後とも浜崎地区土地改良事業、沖縄新農業構造改善緊急対策事業、農村総合整備モデル事業等を推進してまいります。また、畜産、水産業、商工業の振興を図り、活力ある地域社会の実現のため努力し、「豊かな郷土 希望の町」を追求してまいります。
第二に「文化の里 学びの里」についてでありますが、本町は教育を大事にし、人材の育成に大いに力を入れている伝統がございます。新年度も教育・文化の発展のための諸施策に力を尽くしてまいります。教育環境の整備は昭和62年度に策定された基本計画に基づく佐敷中学校校書の建設をはじめとし、その整備充実に努めてまいります。幼稚園教育の充実、社会教育、社会体育の充実に力を注ぎ、社会のニーズに極力応えてまいりたいと考えております。
また、国際化が各方面で叫ばれて久しい今日、21世紀を担う有為な人材の養成がいま強く求められております。このような中で、中学校英語教育の充実、実践化を図るために、米国ハワイ州より町出身者子弟の英語教師を招くことを新年度においては実現させてまいりたいと考えております。このことは単に英語教育の充実強化のみを目的とするものではありません。町民との心の触れ合いを通して、ハワイの日系三世、四世に郷土の歴史と文化を正しく理解してもらい、ふるさと佐敷に対する愛郷心の高揚を図り、彼等の友好親善と文化交流に寄与することもまた大きな狙いといたしております。そういった意味におきましても、外国人英語教師の招請をぜひ実現してまいりたいと思っております。
次に「明るい生活思いやりの町」でありますが、これは健康で住みよい町づくり、福祉の充実を図る意味を込めたものであります。本町は、健康づくりにおきましては昨年、厚生大臣表彰を受けましたとおり、その先進地としての評価を受けております。今後ともその成果を基に、町民総参加の健康づくり事業を強力に推進してまいります。
福祉の高度化を図る本町は「福祉の風土づくり」を進めており、地域の理解と協力のもと福祉事業は充実化しております。また、福祉事業推進の中核ともなる町社会福祉協議会は、このほど優良団体として全国表彰を受け。きめ細かな福祉事業を地域ボランティアの協力を受け展開いたしております。そのような事業をバックアップし、思いやりのある佐敷町づくりに力を尽くしてまいりたいと考えております。
まちづくりは何よりも地域住民が明るく安心して生活できることを基本としなければなりません。「潤いある安らぎの町」は、その方向を示したものであり、コミュニティ施設、共用施設の設置等を基本としております。これまで地区公園、児童公園等の整備と取り組んでまいりましたが、新年度も町民の皆さんの快適な生活の創造の一助となる地域コミュニティ施設の整備に力を入れ、地域社会の融和と連帯の創出に力を注いでまいります。
町政の運営は、町民の信頼のもとになされるものであり、職員の資質の向上は常に住民福祉を念頭に置いたものでなくてはなりません。さらに、佐敷町の将来にビジョンと夢を持った取り組みがなされなければ、本来の職務を果たしているとは申し上げられないでしょう。職員ひとり一人が、自発的かつ創造的な取り組みを忘れず、住民と共に生きる姿勢を保ち続ければ、本町のまちづくりは更に大きな前進を勝ち取るにちがいありません。
議場の改装をはじめ庁舎の整備も進んでおります。窓ロ業務サービス向上をはじめ、庁舎整備によって住民福祉は一段と図られます。新年度も民主的な町政運営、職員の資質向上、事務事業の効率的な運営を目指し、職員一同努力してまいります。
今後とも、ご理解、ご協力をいただくことを心より願っております。
一、豊かな郷土 希望の町
豊かな生活、希望のある町の実現は、だれしもが願うところであり、行政もその実現に向け最大限の努力をしなければなりません。幸い本町は人材に恵まれており、基盤の整備によって農業はじめ諸産業は着実に発展しております。今後ともハード、ソフト両面の充実を図り、諸施策の推進に努めてまいります。
本町の農業の現状は、耕作地が狭小、不整形の上、排水等の末整備が散在しているため、生産性がまだまだ低い状況にあります。
農業の生産性を高め農家生活を安定させるためには、土地の効率的利用が重要な課題のひとつとなってまいります。そのため、農業基盤整備は、これまで同様強力に推進していかなければならないと考えております。
昭和56年度から実施されている津波古地区改良事業は、今年度ですべての事業が完了いたします。また、沖縄新農業構造改善緊急対策事業(沖縄新農構)により実施してまいりました後原地区のほ場整備は、今年度をもって完了し、川田原地区もまもなく完了する予定であります。 さらに、昭和61年度から進められております浜崎地区土地改良事業は、新年度は13ヘクタールが予定され、実施面積も更に拡大してまいります。
沖縄新農構は、地域に合った農家体系の確立を目指し、60年度からその推進に取り組んできましたが、新年度は兼久農業構造改善センターを設置して地域コミュニティの育成を図り、農家の生活改善と地区内農業の生産性の向上に寄与したいと考えております。
また、農業を取り巻く諸情勢の変化に対応して、これまでの農業振興地域整備計画の見直しを行ない、それを更に発展させた農業振興地域整備計画(農業・農村再編型計画)を新たに策定いたします。これに基づいて、今後、農業関連施策の総合的かつ効果的な推進を図っていく所存であります。
農地および農業施設のために土留め壁を設けて法面崩壊を未然に防止し、農業経営の安定化を図るために今年度から導入した土砂崩壊防止事業は、新年度も継続して実施してまいります。
また、傾斜度が高く農地の侵食、法面崩壊の恐れがある新里地区背後の農地につきましては、農地保全事業を引き続き推進し、農作物の被害防止と生産性の向上に努めてまいります。
ご案内のとおり農村総合整備モデル事業は、生活環境の整備を行ない、農業と農村の健全な発展を目指す事業であります。このモデル事業は、実施三年目を迎えます。これまで6500万円の事業費を投入してその推進に努めてきたところでありますが、新年度は約1億円という巨費を投じて、農道、排水、集落道等の整備を積極的に推し進めてまいります。
傾斜地の崩壊防止や町土保全、緑地を推進するための人工造林事業は、昭和53年の事業開始以来約72ヘクタールを完了いたしました。
新年度は、約1ヘクタールの新植と約44ヘクタールの保育を予定しております。また、
これまで造林を進めてきた樹種の保育にも配意いたしたいと思っております。
水産業は、恵まれた漁業条件を生かすためにも、これまで導入された近代化諸施設の有効利用を図りながら、漁業生産組織の育成と拡充に努めます。また畜産業につきましては、獣医師を引き続き委託するとともに、畜産共進会等を開催して、その振興に努力してまいります。新市街地における大型店の進出等によって、町の商業地図も大きく変わろうとしていますが、商工会の商業地城づくりにこれまで同様積極的に協力し、本町の地域特性を生かした商業の振興に努めたいと考えております。
二、文化の里 学びの町
まちづくりにとって、人材の育成は何よりもの力となります。教育の町としてこれまで評価を受けてきた本町は、教育環境の整備はもとより、内容の充実に力を入れてまいりました。今後ともこの基本姿勢を堅持し、豊かな人間性の育成、主体性と創造力のある人材の育成に努め、また、社会教育の充実を図り教育の町・佐敷の名を更に高めてまいります。とりわけ新年度は、ハワイより町出身者子弟の英語教師を招き、中学校英語教育の充実、文化交流等に努めてまいります。
この教育・文化のまちづくりでは、自主性、創造性豊かな人間形成および個性の伸長と、郷土の自然と文化を尊重し、日々進展する社会に対応し得る健全なる町民の育成に努めてまいります。
具体的には①学校教育条件の整備、②社会教育の拡充、③町民の健康・体力の増進、④町史編さんの推進ならびに文化財の保護育成という四つの柱を立てております。
まず、学校教育条件の整備としては、今年度に策定された佐敷中学校整備基本計画に基づいて、新年度から佐敷中学校の校舎建設に着手し、昭和64年度完成を目指します。
また、佐敷小学校と馬天小学校につきましては、これまで同様備品、図書の充実を図り、潤いのある学習環境の創出に努めてまいります。さらに、文部省および県教育委員会の指定を受けて、佐敷中学校と佐敷小学校が共同で取り組んでおります道徳教育の研究を引き続き推進し、学校、地域一体となった道徳教育の環境づくりに努力いたします。あわせて、児童生徒の基礎学力向上の推進活動にも関心を払い、馬天小学校の県指定研究校の実現に向け、検討を進めてまいります。さらに、青少年健全育成運動に積極的に取り組み、青少協および子ども会活動の育成にも、引き続き努力してまいります。
社会教育の拡充としては、まずこれまで同様、生涯教育の充実および町民の生涯教育推進活動に対する協力体制の確立に努めます。また、親子民芸教室、外人教師を活用した英会話教室など各種学校、教室を開催し、学習機会の拡充を図ります。さらに、社会教育関係団体の指導体制と組織活動の充実を図り、より密接な関係団体との連携を実現させたいと思っております。
町民の健康・体力の増進としては、体育指導員の充実・強化を図り、健康づくり町民運動会や町の体育施設を利用した各種講習会の開催、テニス、バドミントン、ジョギング教室等の開設によって、心身ともに健康でたくましい町民の育成を目指してまいります。
町史編さん事業に関しましては、『佐敷町史・自然篇』が現在原稿執筆に入っており、新年度内での刊行を目指して、急ピッチで編集作業が進められております。町内全城にわたる自然調査を基に綿密な考察を経て書きおろされる予定だけに、刊行の暁には画期的な町史として、また、町の諸計画立案の原資料、自然学習の教材として町内外の関心を集めるものと期待いたしております。さらに、文化財の保護育成では、町と立命館大学の共同調査の成果を『佐敷町の昔話』として発刊するとともに、字誌づくりの講習会を引き続き開催し、町民が築き上げた歴史や文化を大切に守り育てる風土の醸成に努めてまいります。あわせて、文化財の保護、管理の強化をはじめ、無形文化財の保護、育成、伝統文化の継承に尽力いたします。
三、明るい生活 思いやりの町
今日のように社会経済のめまぐるしく激動する状況の下で、高度な福祉社会を実現していくことは至難のことであります。しかしながら、明るく豊かな思いやりのある町の実現は、行政の最大の目標であり、「福祉の風土づくり」を掲げる本町にとりましても重要課題のひとつであります。
高齢化社会の急速なる進行ひとつをとりましても福祉の高度化、充実には行政の活動強化の必要性を強く感じるものであります。幸い本町におきましては福祉活動の成果に対し、全国表彰を受けました町社会福祉協議会をはじめとし、各種福祉団体、地域ボランティアの諸活動によって、福祉の理念が広く町民に行き渡り、また、その啓蒙啓発によって町民の福祉に対する意識が年々高まっております。地域における福祉活動への理解と協力は、本町の福祉事業を支える大きな力となっております。
福祉に対するニーズは、年々多様化しており、行政の力だけでは足りない部分も生じております。しかし、本町は「福祉の風土づくり」を福祉政策のひとつに掲げ諸事業を推進してまいりました結果、地城住民の積極的かつ自主的な福祉活動への参加を得、高度福祉社会の実現へ向け着実な歩みを続けております。
現在、老人、障害者福祉にあっては、在宅福祉を充実、強化し、さらに地域の住民の皆さんの理解と協力をもってその効果の向上を図っておりますが、介護者、保健婦活動の強化、寝たきり者看護教育の充実化に努め、より在宅福祉の強化に力を入れてまいりたいと存じております。
国民年金事業につきましては、迫りくる高齢化社会に対する認識と、国民生活が損われることのない相互扶助の精神の高揚を広く訴え、無年金者の発生を防ぎ、国民年金制度の周知徹底を図ってまいる所存であります。各種年金の存在意義を広報等によって周知せしめ、老後の健全な生活の維持の実現に向けて、長期的かつ安定した制度とするための諸活動を展開してまいります。
明るい生活は何よりも、家族の健康、町民の健康、快適な生活環境がその基本にあります。本町は、長期にわたり「健康づくり」と取り組んでまいりました。
個々人の健康だけでなく、地域の健康、さらには、地域社会の美化にまで至る活動としてそれは定着いたしております。ご承知のこととは存じますが、去る昭和62年9月、本町は公衆衛生部門で県下初の厚生大臣表彰を受ける栄誉にあずかりました。これも、町民各位の本町の健康づくり事業への積極的参加、自主的活動が評価されたことにほかなりません。
保健推進員、母子保健推進員の活動も年々活発化し、さらに栄養改善教室等を通じた住民の健康と直接結びつく活動もいよいよ根をおろし、本町の健康づくり事業をしっかりと支えております。
今年度は、健康づくりの更なる推進を目指し、「婦人の健康づくり」をスタートさせましたが、新年度も本事業を継続し、家庭における健康づくりの一端を担う婦人自身の意識の高揚、積極的な参加を求めてまいりたいと存じます。
お年寄りの健康づくりに関しましては、老人保健法に基づく健康づくり事業の推進に努め、各種検診の受診率の向上を図り、有病者の早期発見、早期治療、町・駐在保健婦の諸活動を通じ、医療費の適正化に努めてまいります。また、お年寄リの健康教育や健康相談の充実化を図り、保健婦の存在を最大限活用してまいります。
四、潤いある安らぎの町
生活環境の整備は、行政にとって最重要課題のひとつであると申し上げてもよいでしょう。豊かで美しい自然をいただく佐敷町におきましても、近年、急速な都市化、人口の増加、混在化が進んでおります。このため、地域住民の多様なニーズに的確に応える努力を続けながら、本町の将来像を見据えた整備を行なっていかなければなりません。あわせて、コミュニティ事業や施設整備も推進し、潤いと安らぎのある郷土づくりを目指すことが今こそ必要といえます。人と自然との調和を基調に、町民相互の連帯感にあふれた町づくりに引き続き全力を傾ける所存であります。
これまで整備を進めてまいりました冨祖崎公園、新開公園および屋比久、つきしろ、新開の三つの児童公園は、地域住民に広く利用されコミュニティの場、憩いの場としてすでに機能いたしております。さらに、町民待望の津波古児童公園が今年度中には完成の予定であります。
62年海邦国体の主会場ともなった新開球場は、すでに町民に広く利用され、スポーツの振興、勤労青少年をはじめとする町民の健康増進に大きく貢献しております。また、新開球場の周辺整備も一段落しましたので、新年度は、新たに地域活動の拠点ともなっていく学習等共用施設(公民館)を設置して集会施設の確保に努め、地域コミュニテイづくりの推進に積極的に寄与したいと考えております。
道路整備に関しましては、馬天倉庫線舗装工事、新開一周線歩道整備事業は、すでに完了しており、佐敷大里連絡線、新里台上の夜明が丘線の整備事業は、新年度も継続してまいります。また、佐敷仲伊保線整備事業を新年度の新たな事業として導入いたします。各道路とも生産、生活と密着したものであり、今後ともその利用対策も含め、重点施策として事業推進に努めてまいります。さらに、自衛隊専用道路の県道編入と関連して、新年度は、つきしろの街連絡道路概略設計(予備調査)に着手いたします。今後は、この予備調査の結果を基に、各関係機関に働きかけ、連絡取り付けの方向性が見いだせるよう努力を続けてまいります。
失業対策事業は、公共施設の清掃を引き続き推進し、清潔で明るい行政サービス環境づくりに努力いたします。また、新年度は、地方改善事業を新たに導入して、集落内道路の整備を図り、居住環境の向上に努めてまいります。
講和発効前のつぶれ地補償は、継続して実施される運びとなりました。懸案の幹線道路以外のつぶれ地補償につきましては、国・県の方針に基づき、事業推進に取り組んでまいりたいと思っております。
沖縄対米請求権事業も引き続き実施し、コミュニティ活動および児童公園等地域生活環境の整備に努力する所存であります。
排水路整備事業は、厚生年金休暇センターの設置に伴う周辺環境整備の一環として、新里大井川の整備を新規事業として推進してまいります。
県営事業の馬天港整備事業、県道137号線の歩道設置工事は、新年度も継続して進められることになっております。また、昭和61年度から開始されました兼久地先護岸工事は、新年度も継続され、完成後は、町土の保全および潮害防止に威力を発揮するものと期待いたしております。
「心豊かなふるさとづくり運動」は、当初の取り組みの成果が町内随所で見られるようになってはいますが、組織、内部体制の強化を図りながら、引き続き活動を展開してまいります。
水道事業の運営につきましては、年々多様化する町民の日常生活に対応するため、これまで給水管の改良および整備等を行なってまいりましたが、ご承知のように本町には、高台地域対策や給水不良地域の改善をはじめ、小ロ径管の改良ならびに貯水施設の老朽化による改築など、これから整備しなければならない事業が山積しております。ところで、本町の水道事業は、ご案内のとおり赤字経営の下で大変厳しい運営がなされている現状であります。そこで新年度は、適正な事業運営を図っていくため水道料金を改正し、水の安定供給に努めるとともに、水道事業としての本来の目的である生活の向上に寄与したいと思っております。さらに、県企業局の基本構想事業に沿って本町の水道事業の円滑化を図り、町民が等しく水の恩恵に浴せるよう最大の努力をしてまいりたいと考えておリます。
おわりに
昭和63年度の町政執行の基本方針と施策のあらましを述べてまいりましたが、依然として続く厳しい地方財政の現況の下、すべて満足いただけるものとはならないかと存じます。しかしながら、町民の皆さまの生活全般にわたる向上と、佐敷町の将来にわたっての発展を基本とした町政運営の姿勢は堅持いたしております。地方自治体の健全な運営は、今後とも最重要な課題であり、厳しい状況下ながら財政構造の健全化に努力してまいりたいと考えております。
産業基盤の整備をはじめ、厚生年金休暇センターの建設、それに伴う周辺の整備、マリンタウンプロジェクト構想の推進、佐敷中学校の整備等、将来にわたる大事業も控えております。本町の行財政の運営の健全化、効率化を推し進めるため、今後とも事務事業等の見直し、経費の節減合理化に努め、職員の資質の向上を図ってまいりたいと決意いたしております。
佐敷町の発展と町民生活の向上を目指し、以上、昭和63年度に向けての私の所信を表明いたしましたが、町民各位のご理解、議会議員各位のご協力を賜り、提出された諸議案に対し慎重なるご審議をお願い申し上げます。
昭和63年3月11日
佐敷町長 山城時正