なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

くしゆっきい43 ミーチリ

方言には方言独特の味があり、標準語ではうまくいいあらわせない言葉が意外に多い。
「カンパチ」「トゥンタチー」「ティーダブイ」など、無理にいい変えるとどうもしっくりしないものである。「ミーチリ」などもその代表的な例である。
戦前、手登根出身の宮城寛勇先生(故人)は佐敷尋常高等小学校に勤めておられたが、
ユーモアたっぷりで、しかも、優しかったので生徒から人気があった。しかしどういうわけかミーチリであった。
腕白盛りの子どもたちが「ミーチリ軍曹、戦ヌ、サチバイ」などと叫んでも怒ることもなくニコニコ笑っておられた。
一年生の読み方(国語)の時間に「ミ、という字のつく言葉にはどんなのがありますか?」との先生の問いに生徒たちはミミ、ミチ、ミカン等と答えた。
先生「もっとありませんか?」するとA君が「先生!ミーチリ」と答えたので教室は爆笑の渦に包まれたとのこと。
「うーん、ミーチリか、ミーチリは上等だよ。先生はディキヤーだからミーチリになったんだよ。だから君達もうんと勉強してディキヤーになりなさいよ」
それまでだまっていたB君が嬉しそうに立ち上がり目の上を指差しながら「先生!私もミーチリ」
先生「?……」
たまたま教室の側を通りかかった石田重光先生、こっそりことの成り行きを見ていた。 「生徒の答えは奇抜で面白かった。寛勇先生の応答はそれ以上でほんとうに素晴しかった」と後に語っていたということである。(真栄城)

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大分類 テキスト
資料コード 008440
内容コード G000000554-0005
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第124号(1987年11月)
ページ 5
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1987/11/15
公開日 2023/11/17