なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

くしゆっきい39 二人の呉屋さん

姓名の呼び方は日本とアメリ力では反対になっており、例えば、「新垣太郎」は日本では「アラカキタロウ」であるが、アメリカでは「タロウアラカキ」となる。では、呉屋武太
さん(故人)はどうなるか?
終戦直後、ある会合で手登根の呉屋武太さん(故人)と同席したことがある。呉屋さんといえば町内に知れた篤農家である。怒られるのを覚悟で恐る恐る話しかけた。
「呉屋さん、アメリカ世になって1番損をしたのは貴方ですね」「どうして?」「アメリカでは名前から先にいうので、貴方はブタゴヤになりますよ!」「あ、ブタゴヤか、しかしね、ブタゴヤはうんと金が儲かるから上等だよ、君!」と笑って答えられた。
ゴヤ・タケタが正しい読みかたであるが(武太)を音読みすると(ブタ)になるので、
こんな珍問答になったのである。
さて、もう一人の呉屋さん「呉屋能幸」さんも手登根の方で、同じく篤農家として有名である。九十歳であるが健康にめぐまれ、毎日畑仕事に励んでおられる。
「毎日忙しくて大へんですね」
といったら「ニンジンヤ ナンブン イチュナサセー マシ。ヒマヌアクトゥル ヤナクトゥン カンゲーユル(人間は、なにぶん忙しいほうがよい。暇があるから悪い考えもでてくるのではないか)」といわれた。生活体験からにじみ出た金言である。
毎日元気に農耕作業に精を出しておられるので「呉屋能幸」さんというより、むしろ
「呉屋農耕」さんのほうがぴったりという感じである。(真栄城勇)

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大分類 テキスト
資料コード 008440
内容コード G000000549-0014
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第119号(1987年7月)
ページ 5
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1987/07/10
公開日 2023/11/17