栄養士 我那覇朝子
食生活が豊かになった今日、私たちの囲りの生活の状況から正しい食生活を考えると、はたして望ましい食生活がなされているのかどうか疑問に思われます。
あふれるばかりの食品にとり囲まれ、いつでも、どこでも、手を伸ばしさえすればすぐに食べ物を口にすることが可能な食品氾濫時代はまた、情報氾濫時代ともなっています。
食品の栄養素や功罪に一喜一憂することなく、情報にふりまわされず、いかに適切に食品の選択や調理を行ない、楽しい食卓が創造できるか、問題解決のカギは食べ手側の皆さんの手中にあります。
平均寿命が伸びたとはいえ、現代は非健康人が急激にふえていることも事実ですむ肥満、貧血、高血圧、心臓病、糖尿病などのように、栄養過剰に起因する病気が多くなっています。一見豊かな食生活の中で、手当り次第に食事をした結果の賛沢病と、これらの病気はいえます。
エネルギーの過剰摂取のみならず、タンパク質や脂肪の過不足、ビタミンやミネラルの不足などの各種栄養素の不足もまた、このような成人病の引金となります。特に成人病は、小さい時からの長い間の食習慣と深いつながりがあると考えられています。
成人病やさまざまなストレスからくる精神障害がふえていることも気がかりなことです。
数字の上では、日本人全体の栄養摂取のバランスは大へんすぐれているものとなっています。しかし、動物性食品や油脂のとり方が増え続け、さらにこの傾向が今後も続けば、成人病も増加していくにちがいありません。
健康に暮らし、ストレスなどをはねのけて元気に働き続けるためには、まず、毎日の食事に歪や片寄りがないか点検してみましょう。
そして、宣伝や各種の情報に左右されない確かな眼と考え方を持つ必要があります。
健康な食事をするために、さまざまな食品をバランスよく、まんべんなく取入れること(一日30食品)が大事です。さらに、経済的でおいしく、うす味にすることです。食事は毎日のことであると同時に、人生という長い眼で見ていくことも必要です。
充実した毎日のために食生活を大切にして、健康な町、長寿の町、明るく住みやすい佐敷町を築きあげていかなければなりません。家庭の食生活をあずかる者の責任は重大です。
一人ひとりが、自分の健康は自分で考え、まず、身近なことで、できることから、気づいたその日から行動にうつし、実績をあげていただきたいと願っております。