国体食を広く県民に紹介し、民泊家庭の開拓を図ることを期した県国体事務局主催の「国体食フェア」が、3月28日、29日の両日、沖縄市のコザショッピングセンターを会場に行なわれました。沖縄の味、家庭の味、そして選手のスタミナ、他府県の味覚を考慮した国体食の紹介とあって、会場には多くの人がつめかけていました。
会場には、海邦国体の標準献立などのパネルや写真が展示され、普段の家庭料理にちょっと手を加えれば国体食として通用するということなどが示されていました。
また、ラフテー、ジューシー、クーブイリチーなど、国体食にとり入れられる沖縄の味の代表14品目が試食コーナーにならべられ参加者の人気を呼んでいました。
このフェアには、本町からも国体標準献立普及指導員の皆さんのほか、国体開催時には、本町民泊家庭の台所を担当することになる婦人会支部役員の皆さんが参加、試食コーナーのほか会場をつぶさに回るなど、熱心に見学していました。
本町における民泊の形式は、素泊りの共同調理方式で実施されることになっており、今回の催しは普及指導員の皆さん、婦人会の皆さんにとって大いに役立つものとなっているようでした。
すでに、民泊受入れ家庭100%を達成している本町においては、その態勢の充実、強化を図っているところであり、特に民泊時の根幹をなすものともいえる食事面での研究、習熟を図っておりいろいろな方面で今回の「国体食フェア」は参考になっているようでした。
今後は、この体験が各集落ごとに開かれている国体標準献立調理実習に大いに生かされてくることでしょう。国体成功の一翼をになう民泊の態勢づくりも、国体標準献立の普及、習熟ととも大きく一歩前進したといえます。
〔訂正とお詫び〕前号、国体旗引継式の記事中「津留市」は「都留市」の誤りです。謹んで訂正しお詫びいたします。
民泊実践記録⑯「わかとり国体」鳥取
村中あげて歓迎
上津黒 衣笠久美子
「ただ今北海道の選手団が郡家駅に着きました。これより上津黒に向かいます」という連絡が入り、〈いよいよだ〉と身の引締る思いで家中の灯りをともし、玄関の戸も一杯に開けておいて、急いで村の入口まで迎えに出ました。
すでに大勢の人が遠来のお客さまを待ちかねて、少しずつ村のしもの方に移動しています。
やがて、県道まで迎えに出ていた乗用車や軽トラックの先導でバスが到着し、歓声と拍手の中を選手達が降り立ちました。
みんなニコニコしています。中には早速おどけて笑いを誘っている人もいます。
選手の宿泊はほとんどが民泊という郡家町で、上津黒でもホッケー成年男子の北海道
チーム16名を引受けることになり、私の家では、監督さんと選手2名に泊っていただきました。
梨の撰果場に客席を設け、前の道路を舞台にしての歓迎会は保有会の手踊り、婦人会の
御縁太鼓や傘踊り、それに選手の自己紹介をまじえてのカラオケなどと、お年寄りから若者まで総出の楽しい一時でした。
食事とミーティングは、この度改造していただいた公民館で婦人会のお世話で行なわれました。家ではくつろいで休んでいただけるように心を配り、お休み前の一時は、居間のコタツで鳥取のこと、北海道のこと、国体のこと、また、世間話をと、時のたつのも忘れて楽しく語り合いました。
監督さんがお泊りでしたので電話の取継ぎや連絡も多く、私の家ではそのことにも気を使いました。
礼儀正しく、爽やかなスポーツマンでさすが北海道代表だけのことはあると感心しました。
試合は、一回戦は難なく勝ち進み、二回戦で運悪く地元鳥取チームとの対戦になり、どちらにも勝っていただきたいと複雑な気持ちでしたが、応援するのは勿論、わが村の北海道。車を仕立て、村中総動員で会場に駆けつけ、太鼓をたたき、我を忘れて大声援を送りました。
延長戦の末敗れはしたものの「良い試合ができました」と監督さん。「ホッケーの試合は初めて観たけど、こんなに面白いものとは知らなんだ」と、応援に出た村の人達。どちらの言葉もとても嬉しいものでした。
村中が北海道、北海道と夢中になった五日間が過ぎ、選手達は再会を約して帰って行きました。しばらくして、監督の奥さまより「大へんお世話になり有りがとうございました。主人達も国体にはたびたび参加しましたが、民泊家庭にお世話になったのは初めてで、その温いもてなしと、盛大な歓迎に感動したと喜んで元気に帰って参りました…」との声の便りにジーンと温いものが伝わりました。
ようやく国体ボケから立ち直ったこのごろ、民泊させていただいてほんとうに良かったと、しみじみ感じています。