嶺井永湧 前町老人クラブ連含会会長
わが佐敷町のむかし築かれた宅地の現状を見ますと、各戸とも120坪くらいで各字ともそれぞれ同じ方向に向いており、縦横の道路はほとんど直線、幅員は約3メートルで整然と区画整理された美しい集落形態をなしています。
この宅地計画を推察するに、荷馬車さえも普及していない時代に道路の幅員を3メートルも設けたことは、先見の明があったといえましょう。
本町の人口は、戦前は5000人といわれていましたが、現在では10,600人を数え、日増しに増加しつつあります。これは、戦後県外から引揚げて来た人々と、人口の自然増加および他市町村からの移住者によるものです。
本町は、昭和47年4月、那覇広域都市計画の区域の指定を受け、これにより、町では都市計画審議会を設置しました。審議会における審議の結巣は県に報告し、昭和50年5月、建設省から津波古地区と新開地、区は市街化区域、その他地、区は市街化調整」区域との決定の通知を受けています。
人口は増加の一途をたどり、旧宅地には納まらず、公道に、面した所と集落に通じる道路に面した所に土地を求め、住宅あるいは商工業施設を建設しつつあるのが、本町の現状です。これらを放任すれば、道路にそわない地主は多大な迷惑をこうむるのは勿論のこと、昔から築かれて来た集落形態とも調和がとれず、町全体の形態も見苦しくなることは必至でしょう。
このような中にあって、私は佐敷町のまちづくりの基本は、都市計画であると申し上げたいと思います。
都市計画法の適用がもし受けられないとするならば、町自身が企画をし、各字と地主の協力を得て市街化区域、市街化調整」区域内の区画整理事業を、現在進められている農地の土地改良事業と並行して推進する必要があります。
これは、ぜひ実現しなければならないものであり、本町の現況をかんがみるに緊急の事業ではないかと考えております。この都市計画事業の推進によって、美しいまち、住みよいまちが生まれてくるものと信じております。(つづく)