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まちづくり100日シンポジウムより⑤ 輝く緑 あふれる自然「町全域を自然観察園に」

知念盛俊  佐敷町史編集委員
佐敷町の森林には、世界中でここにしかないという植物もあり、また、山原にしかないとか中頭にしか見られないとかの植物もあります。さらに、島尻一帯の植物も原植生に近い形で存在しています 地学、地質の面では、軽石があるとか、化石があるとか非常に重要な意味を持っています。
海岸域も調査しており、台湾ガサミだとかノコギリガサミ、アラスジケマンガイとかまだ食用になるものがおります。方形区を切り調べていますが、これまでだけでも大体400種はくだらないだろうとみています。打ち上げ貝も含めて、これらは私たちにいろいろなことを教えてくれます。
小谷、新里の稜線にある植物、森林、そして、海、これらを教育に生かせれば、より大きな佐敷町の財産になるのではないかと思います。
小谷、新里の森林は、水を保つとか、あるいは地すべりを防ぐとかいろいろの役割をはたしています。そういった面を尊重しながらもっとこれを積極的に生かしていってはどうかと考えているわけです。例えば、町民が野鳥を観察する、バードウォッチングの場所としたり、あるいは、自然を考える場所としていく。
佐敷町のすばらしい財産として考えていくべきではないかと思っているわけです。那覇市から非常に近くにあって、これだけの自然があるということは大へん貴重なことなのです。コンパクトな形での自然、軽石山があり、化石も出るし、自生の植物にも恵まれている佐敷なわけですから、町全域の自然を保護、育成すれば、大きな植物園とか標本館をつくったと同じ、いやそれ以上の教育効果が生まれてくるものと思います。
地学の面でも、洞窟などはその地史を考える上で非常にいい勉強の場といえます。佐敷小学校がこの間、この洞窟へ自然観察を行なったそうですが、これは大へん良いことだと思います。
佐敷町では、崖っぷちからハングライダーが飛び、ヨットハーバーからは海洋レジャーへ、これらに加えて自然を学べる、自然の中で勉強できるというようになればうれしい限りです。
ほかのパネラーの方からも指摘がありましたが、町民が休みになると町外に出ていく傾向にあるというのは、やはり考えなければなりません。このご意見からも、親子で学べる所、自然に接することができる場所が必要なのではないでしょうか。
沖縄の自然を知り、森林を、植物を知る場所を生んでいく、自然を守り育てていく必要があるわけです。さらに、CGG運動などと結びつけ、各家庭で大切に育てている庭木だとか、街路樹だとか全部に名札を下げていくなどということも実施してもよいのではないかと思っています。名札には、おじいさんから習った方言名、あるいは原産地、和名などを入れて下げます。一本残らず札が下げられるようになったら、佐敷町は学べる町となり、町全域が植物園ともなり、憩いの町、心やすらぐ場となっていくのではないでしょうか。

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大分類 テキスト
資料コード 008439
内容コード G000000538-0015
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第112号(1986年12月)
ページ 7
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1986/12/10
公開日 2023/11/17