なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

くしゆっきい㉛ 一目瞭然

「おなか」と「背中」はどちらが強い? と聞かれたら誰も答えられないと思う。ところがオナカとセナカが競ったことがある。
30年位前の立法院議員選挙で那覇の街のあちこちに「オナカ」と「セナカ」のポスターが張られた。「オナカ」は真和志市長もつとめられた翁長助静氏(故人)で「セナカ」はいわずと知れた現国会議員の瀬長亀次郎氏である。
選挙のとき、姓または名の濁音や長音等を省略して簡単に表記するのは通例であり、このため「オナカ」「セナカ」となったものでまるで笑い話みたいである。
さてその勝負やいかに。両氏とも目出度く当選。「オナカ」と「セナカ」の勝負は引分けに終った。
ただし、当時は小選挙区制で那覇市はいくつかの選挙区に分割されており、両氏は別々の選挙区のため直接対決ではなかった。
戦前、那覇市会議員選挙で仲村渠盛慶(仇名はセーグヮー)、仲本為美(いび)両氏が近くで政見発表演説会を開いていた。仲村渠氏支持者の1人が「イビヌン議員ナユミ(海老が議員になれるか)」と皮肉たっぷりの野次を飛ばした。間髪をいれず仲本氏の応援弁士は「セーグヮーヤカー イビルマシヤル(バッタよりは、海老のほうがましだ)」とやり返したので満場大爆笑になった。
名演説、名答弁は一服の清涼剤である。戦前の国会で片目の悪い議員が「つらつら世界の情勢を達観するに…」とやったら「片目でわかるか」とあくどい野次が飛んだ。この議員少しもあわてず「一目瞭然」とやり返し、与野党から万雷の拍手を浴びたという。正に天下一品の名答弁である。 (N)

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大分類 テキスト
資料コード 008439
内容コード G000000537-0011
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第111号(1986年11月)
ページ 5
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1986/11/10
公開日 2023/11/17