恒例の町畜産共進会が行なわれた。みごとに肥育された牛や豚、山羊が一堂に会した様はまさに圧巻であった。この日に向けて、磨きあげられた家畜の肌は、つやもよく、輝いている感じであった。
これは畜産に心血をそそぐ日ごろの成果のあらわれ以外の何ものでもない。施設の近代化はもちろん飼料や家畜の世話に硬究を重ね、常に一歩前を見つめた畜産農家の努力が実ったものといえるであろう。
昨今は、貿易摩擦などによってわが国の畜産業はこれまでにないピンチに立たされている。
畜産における主要諸外国のそれは、わが国とは較べものにならない規模、機械化をそなえており、まともな戦いを挑めば結果はおのずから明らかである。
かといって、座してわが国の畜産業の崩壊を待つようであってはならない。外国産にない何かを、いまこそ生み出さなければならない。良質の肉、優良品種の創出、肥育の効率……専門家の目からすれば、これ以外にも改良、改善、また、新規開拓すべき面は多々あるはずである。
町畜産共進会の優秀な家畜たちを見つめていたら、ひと昔まえの家畜たちとは段ちがいの大きさ、健康的な肥育を感じることができた。みえない所での生産農家の苦労も同時に感じられた。この努力、苦労を無駄にしないためにも、更に畜産の近代化、質的面の向上に努めてほしいと願うものである。
当日は、天も高く家畜がひと回り大きく見えた。(収入役)