わがウチナーのことばには、なんともいえない表現のものが実に多い。「トゥンタッチー」ということばひとつとっても、それはいえる。ヤマトゥグチに直訳すれば、「飛立ちすわり」とでもなろうか。中腰の姿勢のことである。
また、「バンカカヤー」ということばは「番にかかる人」と直訳することができ「何番以内にいる人」であり、優秀な大をさすことばである。
この伝で、次の会話を楽しんでいただきたい。
3人のゆかいな仲間が釣りに出た。 1人にアタリがあると、それっとばかりその所にもう2人が糸をたれる。小さなボートは大きく傾き、あわててドタバタ。当然の如く、シカケはからまり”おまつり”になってしまった。
「オー、マウンティンカット」とひとりが叫けぶと、それを受けてもう1人が、
「ヤマキッタ!!」
と叫けぶ。最後のひとりは、それを聞いて、やにわにシカケをはさみでチョキン。1人はカンカンに怒ってしまった。
チョキンとやった当人は、2人のけんまくに、
「ヤマチッチャン」。
この会話、「ヤマチッチャン」がテーマである。「ヤマチッチャン」が「山切った」、さらに「マウンティン・カット」に。「大へんな失敗をした」ということなのであるが、ことばの遊びが妙なことになってしまったのである。
ウチナーグチは、ユーモアにあふれている。ウチナーンチュのあたたかい人情が反映しているせいであろうか。ちなみに、3人目は「ヤマー」の愛称でよばれている。