なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

くしゆっきい⑲ けものがたり(2)

物知り博士の毛の話はますます興にのって、自説の摩擦生毛論を大展開。人間の毛の中で最もこの理論を明白にするものは、下腹部の足の付け根の河ロ地帯に生えてくるものとのこと。
これは、専ら性別対人摩擦のために生えてくるもので、その証拠には性別対人摩擦を考えに入れる必要のない青春期以前の人間には男女ともこの三角地帯に毛は生えてこないではないか、と宣う。
「理屈と膏薬はどちらにもくっつくといいますが」と、軽く皮肉ったつもりが、ついうっかりロをすべらして「屁理屈ですネ」と続けてしまった。
この話はこれまでが序の口で、これからが本論というところを博士の逆鱗にふれて、毛の話はこれで終りとなった。誠に残念なことをしたものだ。
では、毛深い人の話をひとつ。
元横綱朝潮太郎関(現高砂親方)の胸毛も有名だった。
当の関取が土俵に上がると、女性ファンの中から、相撲の勝敗とは関係なしに、交尾時期の猫の鳴き声みたいな奇声がかかった。胸毛に対するヤンヤの声援である。
本町の大先輩、故玉城数丞氏もまた毛深い方であった。
東京での話。遊郭で床に入った途端に、相手に「ズボン下をお脱ぎください」と。怪訝な顔をしていると「これですよ、これ!!」といってひっぱられたのが、なんと脛毛だったとか。
また、銭湯でゆったりと湯槽につかるところまではよいが、すぐさま、毛がうようよと浮んで来たという。先輩自身「まるで田ガニが水泳ぎしているようだ」と苦笑しておられた。(平良亀順)

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大分類 テキスト
資料コード 008438
内容コード G000000516-0008
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第95号(1985年9月)
ページ 5
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1985/09/10
公開日 2023/11/09