年金の改正点
改正のねらい
日本の人口高齢化は、世界のどの国にも例をみない速さで進んでいます。また一方、社会経済状況にも大きな変化が生じています。
このようなあらゆる変化に対応し、高齢化社会のピークを迎える来世紀において、安定した年金制度の運営を図ることをねらいとしたのが、今回の国民年金法の改正です。これまで、ばらばらになっていた公的年金制度を国民年金に統一し、全国民に共通の基礎年金を支給することなどが、その柱となっています。
基礎年金の国民年金
これまでの年金制度では、農業などの自営業者は、国民年金に加入し、民間サラリーマンは、厚生年金に加入していました。新年金制度では、職種別の枠が撤廃され民間サラリーマンも国民年金に加入することになります。
必ず国民年金に加入する人
①農業、漁業、商業などの自営業で、20歳以上60歳未満の人
②厚生年金に加入している人
③厚生年金加入者の配偶者で20歳以上60歳未満の人
任意に加入できる人
①20歳以上の全日制の学生
②海外に在住している20歳以上60歳未満の日本人
③60歳以上65歳未満の人(あとわずかの加入期間があれば老齢基礎年金を受けることができる人)。
なお、公務員など共済組合の加入者とその奥さんについては、今度の改正では除かれていますが、今後、共済組合法の改正を行ない国民年金への編入が予定されています。
「追納」で年金アップを
国民年金は、農林漁業、商業など自営業の人たちが20歳から59歳まで40年もの長い期間加入しなければならないことから、その間に病気やその他の事情で一時的に保険料を納められない人もでてきます。
このような人たちのために、国民年金では保険料の「免除」と、免除を受けた期間の保険料を後になって納付する「追納」という他の年金制度にない独特の仕組みがとられています。
〈例 老齢年金の違い 大正14年4月2日生まれの人の場合〉
24年納付→562,400円
12年免除・12年納付→375,000円
24年免除→189,000円
追納は免除当時の保険料
保険料の免除を受けると老齢年金や通算老齢年金は受けられますが、その年金額は、保険料を納めた人よりも低くなります。これは免除を受けた期間の年金額が、同じ期間保険料を納めた場合の三分の一の年金額として計算されるからです。
保険料の免除期間が長くなればなるほど、どうしても年金額が低くなりますから、できるだけ保険料は納付したいものです。
国民年金制度では、家計が苦しいなどの理由で保険料の免除を受けた人が、その後生活に余裕ができ、この免除を受けた分を当時の保険料で納める(追納)ことが可能です。
免除を受けて十年以内に
追納しますと、指定された納期当時に納めた人と同じように取扱われますので、より高い年金を受けることができます。年齢と国民年金の加入期間が同じでも、老齢年金の額は保険料を納めた(追納)月数に比例して増額します。
生涯にわたって受け取る大切な年金ですから、追納して、少しでも多額の年金を受けられるように努力しましょう。
なお、追納するため、さかのぼって納めることができる期間は、十年以内に限られます。また、65歳以上の人や、65歳前の人でも、老齢年金をすでに受けている人は、追納することはできません。
国民年金、大きな安心
一、国民年金には、老後のための年金ばかりでなく、万一のときは障害年金や母子年金などもあります。
二、国民年金では、物価が上がったら受けとる年金も引きあげられ、一生安定した年金を受けられます。
三、国民年金は、受けとる年金の三分の一を国が負担している有利な制度です。
四、国民年金は、国が責任を持って運営しているので将来とも安心できる制度です。
年金は、働く世代とお年寄りの世代が順送りに助け合う仕組みです。保険料をきちんと納めることによってあなたの老後は安心です。
国民年金はこんなとき受けられます
老齢年金
25年または年齢により10年から24年以上保険料を納めた人が65歳になったとき。
障害年金
1年以上保険料を納めている人が障害者になったとき。
母子(準母子)年金
1年以上保険料を納めている人が夫等と死別し、母子(準母子)家庭となったとき。
遺族年金
1年以上保険料を納めた父または母と死別し、遺児になったとき。
保険料を納付しないと、上記の年金がもらえない場合があります。保険料は納期内に納めましょう。