見た目にはとても食べられそうにもない果実です。平良進さん方のヒンプンの所で実をつけているヤマトゲバンレイシがそれです、「おじいさんが農林学校の出身で植物に大へん興味を持ってまして、種から育苗し、植えたものです。刺があっていかつい感じですが、実は甘酸っぱくてカルピスのような味です。栄養満点ということでもらいに来る人もいるんです」と、平良進さん。
直径20センチぐらいで2、3キロの実となり、ちょうどおぼんごろには熟すとのこと。現在、4メートルぐらいの高さに育っており、西インド諸島・熱帯アメリカ原産というだけあって濃い緑の葉で実をおおいかくしています。
「強風に弱くて、台風の時などはまるで枯木のようになってしまいます。しかし、じき緑は回復します。生命力が強い木なんですね。実が栄養満点といわれるのもその辺のことからかもしれません」
平良さん方のトゲバンレイシ(別名、ホシバンレイシ・イヌバンレイシ)は、樹齢40年以上たっており、結実するものとしては町内で一本という貴重なものです。パパイヤの実ぐらいの大きさになった時には、庭先まで入って来て見ていく人も多いとのことです。
「手入れといっても、結実させるための肥料を入れるぐらいですかね。強風対策を考えなければいけないと思っています。おじいさんが懸命に育てた木であり、いわばかたみですから」
まだ青い実は、緑の葉につつまれ、はずかしそうでした。