佐敷町内を東西にはしる国道331号は、南国沖縄を象徴するのにふさわしいワシントンヤシ並木のロードパークとして、今や県内外にその名を高めています。
直線的な国道、カラー舗装された歩道とマッチしたワシントンヤシの並木は、観光客が車を止めてスナップの背景にするほどの人気です。見上げると首が痛くなってしまうほどの高さに生長したワシントンヤシは、いまや佐敷町のシンボルともなっています。公認のマラソンコースにもなっており、南国のマラソンコースにふさわしい景色をかもし出しています。
このワシントンヤシ並木(一部ワシントンヤシモドキ)は、昭和43年7月、当時の琉球政府の手によって新里交差点から知念村安座真入ロまでの全長4.12キロメートルにわたってつくられました。国道ぞいに植えられたワシントンヤシの苗木は600本。道路整備とあいまって植栽されました。
幹線道路の整備事業のモデルとして行なわれたヤシ並木づくりは始まったばかりの緑化事業ともタイアップして、多くの人々の保守管理を受け今日まで生長したのです。当時、植栽にたずさわった一人でもある松原潤県水産振興課係長は、工事の模様を次のように語ってくれました。
「1日に百本ぐらい植えましたね。バスの便も悪く付近に食堂もないころでしたので、弁当持ちで一週間以上かよいました。苗は金武のほ場から運んで来て、肥料を入れ植えつけていきました。活着状況をみるんで、その後も何度かかよいましたね」
現在、国の管理となっているワシントンヤシ並木は、白いスズランのような花を咲かせています。
多くの人々の手によって植えられ、育てられたワシントンヤシは今後もたくましく生長していくことでしょう。