なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

読者から 狂い咲きの琉歌か

昭和59年度町功労者表彰式典の式次第のプリントについて、おくればせながらひとこと。
プログラムの裏表紙裏に墨痕鮮やかに琉歌一首。頒歌は、功労者の功績に一段と花を添えた。「初春に出ぢてぼさつ花見れば花も咲ききよらさ実もしげさ」、読人知らずの歌。
歌意は、初春に郊外に出てみると稲の穂花もきれいに咲き、実もしげくなって豊作で嬉しい眺めである、とのこと。
当日の祝宴の席上で、同席の俳譜人の瀬底月城氏と畦呂入氏から、この琉歌は季語に合わない歌だとのことを聞かされた。私には、歳時記や季語などを知る学がないが、『広辞林』によれば、初春とは春のはじめ陰暦正月の別称だとある。
農事専門家の知念盛吉氏に電話し米作について聞いてみた。沖縄では米作は2期作で、1期が7月頃、2期が10月頃の収穫だとのこと。日本本土では、年1回作で稔りの秋といって、10月頃の収穫だと教えてくださった。
また、先頃流行した琉歌の「チンヌクジューシー」のことが頭に浮んだ。歌詞に「主(父)が畑から戻るみしょちい、スブイ(冬瓜)にチンクワー(珍瓜)、黄大根(人参)」
とあるが、この歌も、この3つの農作物は収穫時期が一緒でないのである。だとすると、この2つの歌はいすれも季節はずれの狂い咲きの歌ということになるか。(佐敷町字佐敷 平良亀順)

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大分類 テキスト
資料コード 008438
内容コード G000000512-0031
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第91号(1985年5月)
ページ 14-15
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1985/05/10
公開日 2023/11/09