なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

俳句つれづれ草 「大豆」

私たちの町は、甘蔗と共に大豆の最適地。しかも、立春か清明まで播種期に幅があり、品質も県下でトップクラスの地帯である。
戦前は、県の採取圃が設置されて、多い年には20石ほども集荷、県内は勿論、遠くは沖永良部や与論島へも配布されて居た。
戦後もひところまでは盛んに栽培されて居たが、安価なアメリカ大豆が輸入されるに従い、すっかり姿を消してしまった。米国の様な大量生産、大量貯蔵の農法ではどうしても大量の殺虫剤を使用するため、残留農薬の危険性は高くなるものと思われる。輸入小麦を餌にした奇形猿の例に見られる様に、外国産大豆のみに依存するのは一考を要する問題ではなかろうか。
最近になって大豆の大切さが見直され、作付が増えつつあるのは良い傾向である。
楽で安いからといって輸入大豆のみに頼ると、子孫の生存に不安が伴うものだ。株出し甘蔗の更新の際は、大豆を一作して夏植えにする農法に転換したらどんなものだろう。

種大豆甕より出だす針突(ハジチ)の掌
回想句、選別貯蔵は祖母の所管であった。
俗謡も稗史(ハイシ)のたぐい大豆播く
豆にまつわるセクシーな民謡なども1つの歴史であろう。大豆は、良質な精力剤でもある。
母が炊く親豆どうふ二の替り
私は無類の豆腐好き、若い頃はスンカン(井)で3杯。

冷奴さげて白人夫婦笑む
アミーゴと豆腐つつきて暑を消しぬ
2句とも伯国での作。島豆腐は外国でも名を高めており、世界の副食となりつつある。

宿酔汗を覚めゆく湯し豆腐
酒呑みにとって、2日酔は苦しいもの、唐辛子を突込んだ湯し豆腐は何よりの良薬。(畦 呂人)

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大分類 テキスト
資料コード 008438
内容コード G000000511-0018
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第90号(1985年4月)
ページ 10
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1985/04/10
公開日 2023/11/09