佐敷町では、昭和59年4月に農村総合整備計画作成市町村として国の指定を受けました。農村総合整備計画というのは、農村の基盤整備や生活環境整備を含めた総合的な町づくりをすすめていこうというものです。
この計画を策定するにあたっては、町民の意向を知り、十分に反映させたものにしなくてはなりません。町民の意向を知るひとつの方法として、昨年町が実施したアンケートの結果がまとまりました。
津波古749、小谷87、新里248、兼久87、佐敷193、手登根205、伊原83、屋比久111、外間49、仲伊保160、冨祖崎122、新開248、つきしろ221、県営団地161の合計2625世帯にアンケートを依頼したところ1977世帯からの回答がありました。
回答者は、男性が6割、女性が4割という比率で、年齢は、30歳から50歳の働き盛りが半数を占め、50歳以上が3割、残りが20歳代でした。
自然豊かなふるさと
-佐敷町は住みよいですか-
この問いには、住みよいと答えた人が4割、普通と答えた人が4割ありましたが、住みにくいと答えた人も1・5割ありました。
住みよい理由としては、自然環境に恵まれている、永年住みなれている等の答えが8割を占めています。また、住みにくい理由として、仕事の場が少ないが最も多く次いで、生活環境がよくないというのが挙げられていました。
-佐敷町の発展の方向として何を望むか-
宅地開発をすすめ、住宅都市化する、工業を誘致する、観光レジャーの町とするなど町の変革を求める意見が半数を占めています。
反面、農地を守り、農村として発展したい、漁業の町としたいという意見も多く、現在のままでよいという回答を加えると約4割の人が、現在維持している豊かな自然環境を、変えることなく生活したいと考えているようです。
今後の取組みと進路
-町が、特に力を入れて取組んでほしい事業は-
スーパー等大型店舗の誘致を望む意見が半数を超えています。次いで中央公民館の建設、学校教育社会教育の充実、保健衛生の充実と医療施設の設置、農業基盤の整備が挙げられ、図書館や町民プール建設を希望する声も多く挙がっています。
-使用目的がどのような場合にあなたの土地を手離すか-
公共施設用地であれば、と答えた人が4割、宅地開発が3割、企業誘致が1割という結果でした。
農業の将来とその展望
-農業経営を将来どのような方向でもっていきたいか-
サトウキビ作のみが半数、サトウキビと野菜を栽培したいが約3割とサトウキビを基幹産業としている町の姿が浮き彫りにされています。
-自分の子どもに農業を継がせたいか-
継がせると答えた人は1割程度でほとんどの人が子どもの意志にまかせるという意向を示しています。継がせると答えた人の8割ほどが、現在は別の仕事に従事しているが将来は後を継がせたいと考えていることが明らかとなっています。
一方、継がせないと答えた人は農業より他の仕事のほうが安定性があり、所得が高いと考え、農業だけで生計を立てる程の経営面積がないこともその要因として高い比率を占めています。
-農業後継者を育成するにはどうしたらよいか-
最も多かったのが、農地の基盤整備をし、魅力ある農業を確立するという回答。次いで農業経営に関する知識、技術等の研修の場を多くしてほしいという意向が多く挙がっています。
後継者を育成するには、経営としての農業を考え、現在の農業を見直していかなければならないと考えていることが伺われます。
-今後10年以内に土地の一部あるいは全部について、土地改良等の基盤整備をしたいか-
この質問には、7割の人がやりたいと答え、既に土地改良してあると答えた人は1割ありました。やりたくないと答えた人も2割ありました。
土地改良をしたいと考えている人の半数程度が農道の整備、排水の改良をしてほしいと答えています。
-今後も漁業を続けますか-
この質問は漁業を営む人のみに答えてもらい、101人からの回答を得ています。61人が兼業という形をとっても漁業を続けていきたいという意向を示しています。 一方、漁業は自分一代で終えると答えた人が26人、漁業には希望が持てないのでやめると答えた人が7人ほどありました。
町づくりの方向性は…。
-公有水面埋立てについてはどう考えるか-
埋立てに賛成であるという意向を示した人が6割を占め、どちらともいえないが3割で、埋立てに反対であると答えた人が1割でした。埋立てに賛成した人は、住宅地、公共用地、工場用地として利用したいと考えている人が大部分を占めています。
町民意向調査の項目はまだまだ多く、ここに取り挙げたものは一部にすぎません。
町では、この結果をさらに細かく分析し、農村総合整備計画策定に反映していきたいとしています。
1人ひとりの小さな力がいつかは大きな力となり、住みよい環境と社会を築くことができるものと信じます。そのための努力を続けていきたいと思います。
佐敷町は、町民総参加の町づくりをめざしています。恵まれた自然を生かし、豊かなふるさとをつくっていくためにも、今、町民1人ひとりの力が必要なのです。