最近、台湾では米が相当余っており、政府は、水田の転作奨励をしているということです。
水が豊富にあるため蔬菜や果樹への転作、輪作がうまくいくわけです。農作物へのかん水の方法も水の少ない本県とは全く異なり、作物の上から水をかけるのではなくほ場を高畝式にして畝に水を流すという方法をとっています。沖縄は、水が少ないとはいっても年間の降雨量は2000ミリもあるのですからその有効利用を図る対策が望まれます。
このように、大規模な区画整理、農道かんがい排水路が整備されていて大きな生産を生み出していますが、もう1つの特徴は、農業試験場の研究体制が確立されているということです。
今回の視察では、新社種苗繁殖場と嘉義試験場を訪ねました。
新社種苗繁殖場は、雑穀類や蔬菜の種子改良や先端技術を駆使しての種子開発に力を入れている試験場です。ここで注目したのは、種子のかけ合わせによるF1(ハイブリット)の研究開発が重要課題として取組まれているということでした。いまや世界各国が先端技術を駆使して植物の種子開発にしのぎを削っている状況の中で、今回初めて見聞することができました。現在ここで開発研究が進められていることは ①夏場収穫可能な品種の確保 ②抗病性のより高いもの ③35度Cの耐熱性があること ④早生であることなどですが、特に夏場向蔬菜の研究は興味が持たれました。
嘉義試験場は、熱帯果樹を中心に品種改良、研究を行なっている試験場です。ここには、約800種にもおよぶ果樹類が試験栽培されています。バナナだけでも95品種がそれぞれ4株ずつ約2ヘクタールの土地に栽培されています。熱帯果樹は、種類、品種ともに非常に豊富で、特に果物の王様マンゴーの研究が進んでいます。台湾は気候的にも沖縄と似ており、消費者の嗜好性などの問題はあっても、導入可能な果樹品種が多々あるのではないかと思われました。