貴重な資料というものは意外なことから発見されるものです。
先般のマスコミ各社の報道でごぞんじの方も多いと思いますが、渡名喜ウトさん(字伊原280)所有の資料もそんなひとつです。資料は、太平洋戦争下の悲劇「対島丸沈没」に関するものです。
今は故人となった渡名喜元秀氏の日記、メモがその貴重な資料です。当時を克明に証すこれらのものは、ウトさんが夫君亡き後もしっかりと保管していたのです。
「おじいさんがとても大切にしていたんですよ。いつも整理されしまってあったものですから、私もないがしろにはできませんでした。正直いってはたから“貴重なものです”といわれるまでは、余り関心はありませんでしたが・・・」
几帳面だった故人がそうさせたのか、ウトさんの管理も良く保存状態は良好で、今や『佐敷町史』をはじめ、各方面で活用されている資料となっています。
「公職にありましたんでいろいろな資料は持っているとは思っていたんですが、戦さ世のことまで入っていたとは……。今は、いつまでも残してほしいと思っています。これまで、県にも資料提供しているんですが、もっと早くこの資料に気がついていれば、それなりの整理をし、もっと役立ててもらえたと思っています」
雑記帳やメモ、手帳などが、今では貴重な証言集となっていることを驚いている渡名喜ウトさん、今さらながら整理整頓の大切さを感じているといい、故人の業績の大きさもしみじみかみしめているとも……。