なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

俳句つれづれ草 沖縄のホトトギス

沖縄に時鳥が南方から渡来することは、あまり知られていない。津波古、小谷や伊原の山手やムラはずれで、 かねて録音などで聞いた時鳥の声を聞くことができた。ジッと聞いているとその名の通り「ホトトギス」と聞こえた。

笟つくる道石畳ほととぎす
俳句などでは、春の花、夏の時鳥、秋の月、冬の雪と、それぞれ四季を代表するものとなっている。
時鳥は、不如帰、社鵑などとも書く。小宅の2階は暑く、窓を開けて寝ていると、鶏も未だ鳴かない夜中に時鳥を聞くことがある。
飛びながら鳴いているようだ。
この6月には、時鳥の声に起されたのが、チャボが鳴きはじめたこともある。昔の歌人達は時鳥を聞こうと夜を明かしたともいうが、梅雨のころには、夜昼となく鳴き続けるという。

島人に姿かくして杜鵑
沖縄では鴬を歌った琉歌は多いが、時鳥の歌は歌われていないようだ。この2鳥は同じころ鳴く(沖縄では)のてまぎらわしく、すべて深山鴬(ミヤマドリ)と諒まれたとも思われる。

女郎墓を岩鼻に据え不如婦
沖縄では、時鳥のことを何と呼んでいるか知らない。鳴き声については、ヤマトの「テッペンカケタカ」または「本尊かけたか」と異なり、国頭地方では「クンサンカ」とか「ヤキタッサー」 「ウンティンカサブタ」と鳴き、伊平屋島では「ウットゥヌ、チムチャー」と鳴くといわれる。それぞれそれにまつわる昔話もあるという。

時鳥昔を語る手ぶりかな
俳句の場合「時鳥」の季語をつけると、何でも句になるというので、即吟を記してみた。
私たちは日ごろ気づかないで過ごしているものが実に多い。
よく見聞きすれば、思いの発見や、おどろくようなことがらに出会うことができるようだ。(瀬底月城)

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大分類 テキスト
資料コード 008437
内容コード G000000502-0039
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第85号(1984年10月)
ページ 18
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1984/10/10
公開日 2023/11/09