恃みなき島は夕焼けある限り
復帰前の混乱期、赤々と島をつつむタ焼けに郷土復興の希望を見出した瀬底正俊(月城)氏の句です。自然と郷土をこよなく愛する氏の句には、それらがさりげなくうたいこまれています。
「俳句に親しむと、人情の機微に触れ、何よりも、草、木、自然に溶けこむことができますね」
氏の話には奥行きがあります。タイムス俳壇の選者、県俳句協会会長を歴任、「人」同人沖縄県支部長、三十余年の俳句歴がこの言葉となるのでしょう。 「しいさあ句会」を主宰し、その振興につとめ、地域文化の発展にも力をそそぐ氏です。先ごろには、その文化活動に対し、沖縄タイムス芸術選賞大賞が贈られました。
中央、九州俳壇で活躍し、また町文化財保護委員長、町史編集委員長もつとめる氏です。町の歴史や文化の紹介の際には、なくてはならない氏でもあります。新設の馬天小学校の校歌も氏の作詞によるものです。町の文化発展に欠かせない氏は、今日も「沖縄のこころ」を詠んでいます。
星ともり屋根獅子南風に牙さらす
この句は角川図鑑俳句大歳時記に掲載されたもので、処女句集『若夏』の中の一句です。