なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

明日の農業を考える ⑧ 病害虫防除で商品化率のアップを ミナミキイロアザミウマ防除対策

県外出荷ピーマンの生産量が増える時期です。この時期は、暖かくなるにつれウドンコ病の発生や、特に沖縄本島では三年前から問題になり、果菜類の大敵である害虫〔ミナミキイロアザミウマ〕(別称スリップスパルミー)の多発が予想されます。
今回は、この害虫の特徴と防除方法について述べてみます。
この害虫は、東南アジア、インドから侵入したもので、園芸農家の脅威となっています。放置すれば、ピーマンだけでなくナス、キュウリ、ヘチマなどの商品価値を低下させる被害のもととなります。
昭和58年1月までに発生した地域は、沖縄を含む九州・四国全県、岡山、愛知、静岡の16県。この害虫が急速に広がったわけは、盛んな繁殖力と薬剤に対する耐性の強さという虫自体の性質にあります。一世代は二、三週間の寿命ですが、オスがいなくともメスだけで増殖し(単為生殖)成虫は飛ぶのもうまい。卵は植物の葉肉内に一粒ずつ生みつけ、サナギは土中で過ごす習性のため、この期間の薬剤の効果が出ないことも駆除の難点のひとつとなっています。

(1)新種侵入害虫の形態
メス成虫はオレンジ色。オスは赤味がややうすくメスに比べて小さめ(図1)。
卵の大きさは、長径0・2ミリでササゲ種子の形をし、白色。メス一匹の総産卵数は百粒近くあり、繁殖力旺盛。

(2)生 態
成育がとても早く、発育温度は25℃から30℃。沖縄県では年間二十世代前後経過する(表1)。

(3)生活史
卵から成虫まで、その生活史は複雑(図2)。

(4)加害作物
ピーマン、ナス、スイカ、トウガン、オクラ、 キュウリ、サヤインゲン、バラ、菊、テッポウユリなど。
他に雑草にも寄生する。

(5) 薬剤防除法
多発する前に薬散するのが1番よい。

(6) 総合防除法
薬剤だけに頼らず、総合的な対策が。
①健全な苗の育成(施設内への寄生苗の持ちこみ防止)
②施設内への成虫の飛来防止は、ハウス入口および側面のシルバー寒冷紗被覆
③侵入成長による繁殖の防止は、定植時の粒剤施用、水色粘着リポンによる成虫誘殺
④初期発生をねらった早期薬剤防除
⑤収穫後の温室の燻蒸、畑に残った野菜くずの焼却
⑥週辺の雑草刈り、焼裁防除〔県南部農業改良普及所 TEL 0988(89)3515・5741〕

ダウンロード
大分類 テキスト
資料コード 008437
内容コード G000000498-0011
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第81号(1984年4月)
ページ 7
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1984/04/10
公開日