なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

未来をみつめて―。いま、佐敷町のなすべきことは─。 第30回町議会定例会 施政方針演説〈要旨〉

町政運営の基本方針
今日の経済の停滞、低成長は今後も続くものと思われます。地方自治をとりまく諸情勢も厳しさを増しており、財政の効率良い運用か、佐敷町においても最大課題となっています。
このような情況下にありながらも、このほど全国町村会よりわが佐敷町は優良町村として表彰されました。今後も、栄誉にふさわしい町づくりを推進します。
現在、本町の将来像を策定し、その方向性も打出しております。
産業振興、生活環境の整備、社会組織と地域運営、とそれぞれの基本方向を明確にし、 「さかえるまちしぜんのまち きぼうのまち」のキャッチフレーズも策定いたしました。みのり豊かな活力のある発展を目指し、自然を守り育てる健康で住みよい町、町民の自主性を尊重する思いやりのある町づくりを展開いたします。
厳しい財政事情下にありますが二次振計の推進をはじめ、諸施策に対応し、町民が何を望み、何が佐敷町の発展にとって必要なのかを慎重に選択、把握し、現実化してまいります。
平和憲法の精神を尊重し、地方自治の確立をはかり、きめ細い施策、真の住民サービスの確立を目指し、職員一丸となって新年度も邁進いたします。町民のかわらぬご協力をお願いいたします。

1.産業の育成、振興
本町の基幹産業の農業をはじめ各産業の育成、振興は、本町の将来を決するもので、今後とも慎重な取組みが必要です。
農業基盤整備事業は、単に量的な成果だけでなく、農家の生産意欲の高揚という質的な成果にもつながっていっております。浜崎地区の100%同意、61年事業開始という早期実現に努力してまいります。
農業の発展に貢献する新里農道整備、県営砂防ダムの建設など農業環境整備も進んでおります。農地保全事業も、休耕地の活用を含め耕地面積の拡大を基本に、兼久地区、県営佐敷地区で進められております。所期の目的を達成した県営津波古地区を参考に、より効果的な事業椎進を展開いたします。
沖縄新農業構造改善事業が進められますので、本町では事業費二億をかけ手登根、伊原、屋比久を対象に事業を導入します。手登根運動広場、屋比久農村センターの建設、川田原・後原の両ほ場の整備構想等の早期実現を目指し、地区再編型の改良事業と位置づけ努力してまいります。
農業の基本である「土づくり」も、新里堆肥生産組合、農協とあい協力し強力に進めます。
町産業まつり、畜産共進会は町民全員が参加できるよう企画し、より充実させていきます。
畜産は、町出身獣医を委託し防疫等に対処し、さらなる振興をはかります。造林事業は、将来の産業林構想も含め新年度は八ヘクタールの植林を行ないます。水産業は、完成した諸施設の利用で活性化をはかります。商工業については、商工会の自主的経済活動の促進に協力してまいります。

2.教育・文化の充実
教育・文化面の施策の充実強化なくして社会の発展は望めません教育諸条件の整備、社会教育と文化活動の振興に関する基本方針を策定し[教育・文化の町づくり」に取組みます。馬天小の増設工事をはじめ各学校の教材、備品の整備充実、佐敷小の運動場拡張のための用地買収等を更に進めてまいります。
社会教育は、総合的見地から取組み、振興をはかり、また、文化財の保護、育成に努めます。社会体育に関してもその充実をはかります。国体に向けての諸施策も充実させ展開していきます。
青少年の健全育成は、従来の体制を堅持しつつ、学校、父母、地域社会と行政が一体となって取組み、対策を講じてまいります。
『佐敷町史』編纂事業は、「町民による町民のための町史づくり」を基本に、今後も推進いたします。

3.生活環境の整備
近年の都市化、人口増加を考えるとき、将来像を根底にした生活環境の整備が必要です。生活機能面だけでなく、人と自然との調和、町民相互の連帯感にあふれた町、住民要求に的確に応える町づくりをしていきます。
冨祖崎運動公園、屋比久児童公園の完成を見、国体施設の公式野球場の建設にも着手します。またつきしろ児童公園の建設など、町民の憩いの場づくりへの努力をいたします。
各道路改良事業は生活道としての役割を十二分にはたすよう更に推進し、つぶれ地補償もひき続き行なっていきます。排水路工事は新たに月代宮排水路整備に着手します。交通安全対策施設は、ひき続き整備、充実させ安全な町づくりを努めていきます。
仲伊保地区船揚げ場整備など県営事業は、利用対策も含め推進いたします。水道施設整備は、東側地域を重点に推進し、受水地域としての自覚をもとに各事業に対処いたします。
着実な成果をあげています「心豊かなふるさとづくり運動」は、国体開催を意識した緑化計画も取入れ、当初の計画を堅持しつつ、更に地域緑化を推進いたします。

4.福祉の充実、健康づくり事業の推進
地域福祉活動の強化を第一に考えています。町社会福祉協議会、民生児童委員協議会、地域ボランティア活動、老人クラブ等の育成強化に努め、安心して明るく暮らせる福祉社会の実現を目指します。
また、老人福祉センターをはじめ施設の高度利用を、関係団体の連携のもと互助指導体制を確立し推進していきます。
在宅老人福祉、母子・寡婦福祉身体障害者福祉は、実状を的確に把握し、より効果的な措置のできる体制の強化をはかります。児童福祉も同様に福祉環境の整備に努めていきます。
国民年金は、加入促進をはかり無年金者の発生防止対策を推進します。
県内外で評価を得ています健康づくり事業は、老後の健康の維持と適切な医療の確保をはじめとし更に推進いたします。各種団体、医療機関、行政が一体となり町民ぐるみの健康づくり運動として展開していきます。健康相談、健康教育、健康診断、機能回復訓練、訪問指導等を充実させ、町民のニーズに応えていきます。
老人保健法には、高齢化社会の到来という点も含め、行政的に慎重な取組みをしていきます。
国民健康保険事業は、疾病の多様化、医療費の増加ということから最大の危機に直面しています。
相互扶助の精神の普及と、保健・予防事業の積極推進をはかり、事業の健全運営に努力いたします。

おわりに
町民参加による創意ある生活優先の町政を貫きます。全職員とともに一層の勇気と新しい発想をもって全力を尽します。町民の皆さんのご協力をお願い申しあげます。

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大分類 テキスト
資料コード 008437
内容コード G000000498-0006
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第81号(1984年4月)
ページ 4-5
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1984/04/10
公開日