なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

最近ブラジル事情③  新田器一(津波古)

植生
亜熱帯地域はよく似たもので、バナナ、バンジロウ、ミカン、ハイビスカス、夾竹桃、トボロチ、火炎木、花アカシア、サイカチ、ミモザなどが街路や屋敷内の至る所に植えられていて、植物を見ている限り異国のような気はせず、たいへんに親しみを感じた。雑草もペルーグラス、アメリカングラスを主体に、沖縄にある雑草はほとんどあるが、ただ芒(すすき)と野朝顔は見かけなかった。もっとも、ヨシ芒に似た丈の低いオニ芒とメキシコ朝顔は、所々に散在しているようだった。
原生林はユーカリが大部分で、造林地には檜、米松が多い。台風がなく、降雨量も適当にあり、そのうえ肥沃で土層が深いため樹木の生長は早いらしく、ユーカリなどは30年では2抱え程の大木になり、再生林でも14、5年で伐採可能との話である。

街路樹
また4、500年の歴史をもつのみの若い国だけあって、都市計画による街路が4通発達し、人道、車道が広々と取られている上に、中央分離帯も郊外では道幅の広さなのでトポロチ、火炎木、花ア力シア、サイカチ、ハイビスカス、夾竹桃、プルメリァが今を盛りに咲き誇っていた。
聖市では、花も葉も野ボタンに似たクワレズマメイラという美しい灌木が、旅人の目を楽しませてくれる。ほかに鳳風木、イッペーがあり、サントスとリオでは火出木(クワデイシ)が街路を覆い涼風を呼んでいた。
火出木の陰で、「ここは沖縄と親戚の国だなあ」とつくづく親しみを覚えた。ほかにゴムや、梅檀なども家主の好みで植えてあるし、分離帯に黄色の西洋萱草(ヘメロカリス)が咲き乱れているのも珍しい風物の1つ。
 
産物
伯国の主要産業といえば、まず農業があげられる。土質は花崗岩性の砂質壌土でさらさらして水はけが良く、土層が深くて肥沃である。至る処に雲母や、風化した花崗岩のかけらが転がっていた。
主要農産物はコーヒー、ココア、甘庶、綿花、トウモロコシ、豆類、マンジョー力(タピオ力)、果物、野菜類があり、特にコーヒーと砂糖は世界1の生産輸出国である。
小麦以外は米国に次ぐ食糧輸出国で、日本移民は農業の分野で大きく貢献し尊敬されている。(つづく)

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大分類 テキスト
資料コード 008436
内容コード G000000497-0026
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第80号(1984年1月)
ページ 15
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1984/01/10
公開日