その美しく咲く姿に、思わずみとれた方は少なくなしはずです。字手登根から字伊原へ抜ける町道ぞいにある小さなハス池。4、5月ごろは、ハスの花が咲き誇ります。
呉屋新太郎さん宅のハス池です。フク木と石垣がみごとにマッチしたお宅に、しっくりとした色あいをみせるハスの花、いやが上にも風情を盛り上げます。
「以前、この辺は田んぼでした。今の池の所には大きな石があったんです。それをとったら池ができたんですよ。おじいさんがやったわけですが、はじめから池をつくるつもりではなかったといっていました」
ひょんなことから池ができたということですが、幸い湧き水があり、今では、コイやウナギ、スッポンまでいる池に……。
「日でりが続いても、水が涸れることはありません。ハスの花は18年前ぐらいに、首里の人から株分けしてもらったんです。大きい花は4、50センチにもなります。冬場も咲きますが10センチぐらいの小さな花ですよ」
町内でも数少ないハスの花、呉屋さん宅では1年中楽しめるようです。最近、ハス池ではアヒルも飼われており、のどかな風景もかもし出しています。
「石を掘った穴が池になり、そしてハスが花を咲かせて楽しましてくれ、その上、溜池としての役目もはたしてくれているんです。ほんとうにいいものをのこしてくれました」
道ゆく人の目を楽しませてくれるハスの花。その歴史を語る呉屋さんの表情からは、ハスをいつくしむ心がにじみ出てくるようでした。