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新春インタビュー 町政を聞く

広報係「将来の佐敷、町作りの基本構想をお聞かせ下さい」
山城町長「郷土の文化を受け継ぎ、先人の英知を生かしたいです」

町づくりに関する課題は数多くあります。ふるさとづくりは、町、町民一体とならなければなし得ないでしょう。将来の町のあるべき姿について、山城町長にその一端をたずねてみました。

―新年を迎えての抱負をうかがいたいのですが、まず、町の基幹産業である農業について……。
町長 
町民の皆さん、明けましておめでとうございます。本年も暮らし良い町づくりにかわらぬご協力をお願いいたします。
さて、若い人の中には、花キやソ菜を手がけている人もいますがやはり、町の農業はキビ作が主体です。この現況を考えますと、土地の有効利用という面から基盤整備達成が何より必要です。1次振計で高率補助が保障されており、他市町村もこの期間内の達成に最人限の努力をしています。佐敷町も将来の農業振興の障害にならないよう、地主、農家の方のご理解とご協力で、その達成に全力をあげたいと考えています。
というのも、これからの農業は世界的に通用するものでなくてはならないからです。キビ価格でも世界の農業情勢が影響してますし。
目先きだけ考えていたのでは、それに対応できる体制はできません。

―基盤整備事業の推進が、町の農業の発展の課題と……。
町長
将来、若い人たちが喜んで農業に取組める環境づくりを今しなければならないのではないでしょうか。キビ代の国際相場も下がっており、反収も年々おちこんでいる現状では、抜本的な対策をおし進めなければ、増収は望めませんし、将来性のある農業とすることはできないでしょう。
基盤整備によって、土地の有効利用もはかれますし、それに省力化ができます。幸い国の高率補助がこの事業にはついているわけですから、町民の協力のもと強力に推進していきたいですね。

―若い人の農業に対する取組みに関しては何かありませんか。
町長
花キやソ菜といったものに取組みがんばっていますが、私は、その取組みを伸ばしていきたいと考えているんです。例えば、水の問題とかにおいては、国の制度や援助をより多く導入するというような形での協力をおしまないつもりです。農業の新しい面を開拓する意欲に大きく応えたいと考えています。

―基盤整備は課題ともいえますし、町の農業の基本施策といってもよいわけですね。

文化面での政策は?
―さて次は文化行政面で2、3うかがいます。地域文化の保護、発展といった面で……。
町長
これは、基本的な考え方ではありますが、いわゆる、文化活動のできる施設、図書館などの建設ですね。それに、公園や緑地の整備、体力増進・健康維持のための施設……、単なる夢には終らせたくないですね。
もう1つ、これは忘れてはならないことなのですが、郷土の、歴史を伝えていく施設ですね。現在、各資料や文化財が散逸していっていますが、これを防ぐためにも、また、先人たちの偉業、歴史を知るためにもぜひ必要と思っています。歴史資料などを系統だて、保存するために、ですね。

―郷土資料館のようなものの誕生は、町民のみなさんも待ちのぞんでいるのではないでしょうか。
町長
どれもこれも同時にということは、財政の問題もありますしできないでしょうが、郷土の文化の保存、継承という意味も含めての文化活動の施設づくりは早期に取組みたいと考えています。

行政に「沖縄の血」を
―地域福祉、町民福祉ということで基本的な考えをお願いします。
町長
沖縄の伝統的な助け合いの精神と、行政との結合が大事だと考えています。町民がお互いに助け合い、おぎない合い、そのバックアップを町がしていくという形が基本ではないでしょうか。町としては、あることに援助をしたから、金を出したからそれで終わりということではなく、援助がどう生かされているか、あり方はどうなのか、といった血のかよった行政をすべきと思っています。
ここであらためて申し上げたいんですが、町づくりは町民1人びとりの手、協力によってなるんです。行政主導型ではふるさとづくりはできません。行政に町民の声を反映することが基本です。町民の声にいかに応えるかですね。
―町民の声を反映させるといいますと、具体的には。
町長
現在、区長さんを通じていろいろな問題が入ってきますがこれもひとつのあり方だと思います。地域の事情を良く知っているのが各区長さんであり、定例の区長会も月々開かれておりますからこのルートが1番良いのではないでしょうか。
財政面、体制の面から、すぐ声を反映させられない場合もありますが、いろいろな意味で刺激になりますし、参考になるんです。ぜひ町民のみなさんのご意見、ご希望を出してほしいと思います。

緑につつまれた佐敷に
―最後に、佐敷町の将来をうかがいます。イメージ的なものでもよろしいのですが…。
町長
ひとことでいいますと、夢と希望の持てる町にしていきたいですね。イメージはといいますと、田園的な雰囲気を持った清潔な町、緑につつまれたのどかな佐敷町ですね。
現在、心ゆたかなふるさとづくり運動を推進しておりますが、この達成も将来生きてくると思っています。佐敷らしさといったら確定できないイメージですが、今こそ先人の努力と英知をあらゆる面で生かしていくべきだと考えているんです。

―町民の文化活動に貢献するための施設づくりなども、それにつながっていくわけですね。
町長
文化的香りの高い町づくりが目標です。地域文化の発展に関することをより充実し、強化していくことが、今の私たちの役目ではないかと思っているんです。
ことばではいろいろいえますが何よりも肝心なのは、将来を担う子どもたちが、佐敷町を愛し、佐敷のために何かをしたい、というような心を持てる町にしていきたいですね。
幸い私たちの町は、海、緑と、自然に恵まれています。この自然を大いに生かし、だれにでも、どこにでも誇れるふるさとづくりをしていきたいですね。

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大分類 テキスト
資料コード 008436
内容コード G000000497-0001
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第80号(1984年1月)
ページ 2-3
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1984/01/10
公開日