なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

秋空に負けない広がり  昭和58年度 佐敷町産業まつり

町のみのりが一堂に。日ごろの研鑽成果を、町民に広くアピール。
メインテーマ=豊かな未来へ…。緑のわが町・佐敷

11月26、7日の両日、「豊かな未来へ…。緑のわが町さしき」をメインテーマに昭和58年佐敷町産業まつりが催されました。肌寒く風の強い天気ではありましたが、会場となった老人福祉センターには朝から大勢の人々がつめかけ、大盛況となりました。佐敷町はもとより遠く糸満市や那覇市から見に来た人もあり、豊富な展示物に驚きの声をあげていました。
屋外では、ポトスやガボックスなどの観葉植物、菊、サボテンなどが所狭しと展示され、緑のわが町をアピールしていました。
一角では、婦人会手づくりの無公害石けんが作られ、1個100円で販売、人気を呼んでいました。それぞれの家庭が毎日排出する多量の石けん水は、土をよごし、海を汚し続けています。危険を感じた婦人たちによって無公害石けんの製造と普及運動が始められ、一般家庭にも徐徐に浸透しつつあることを感じさせられました。
屋内には、各家庭の主婦がゴーヤー、ニンニク、ラッキョウなどを利用して作った自慢の漬物や酒が、さまざまな器に入れられて展示され、人々の目をひいていました。
新里、小谷から出品された竹細工展示即売コーナーには、早くから人だかりがしていました。昔ながらのアラバーキ、モヤシ籠、ザル、現代的な感覚を生かした花籠や書類箱など……。「去年の産業まつりのときは、売約済の札が貼られた後だったので何も買えなかった。今年は買います」とは、早々に駆けつけたある主婦。青竹の香りとともに蘇る子どものころの記憶に思いを馳せ、「これも使っていた」「あれも使っていた」と楽しい会話があふれていました。先日竹細工の里”小谷”を訪れたというある人は、竹細工は現代の生活と充分に調和したものであり、斬新な意匠と、使途を考慮すれば需要はもっと広がるでしょうね、と話していました。
何といっても圧巻は、各地区の老人個々人の作品でした。編物、袋物、細工物、人形など、1つ1つ丁寧に仕上げてあり、見る者の心を和ませてくれました。
ボケ老人などとともに、老いという問題に焦点が合わされるようになった昨今、テレビ、新聞等で取り上げられたりと、老人問題が社会問題として取組まれ始めています。
私たちの前に着実にやってくる老いという問題。世代の違う人々や社会環境、肉体的な衰え、他者に依存する経済など、多くの問題を抱えたうえで、どのようにすれば快適に対処することができるか、1人1人が真剣に考えていかなければならない状況のなかで、これらの作品が持つ意味は大きいものがあるのではないでしょうか。
農村婦人の家では、生活改善グループによる一工夫こらした料理の数々が展示され、小さく切られた試食品がみるみる無くなっていました。なかには、商品として充分に耐えうるようなプロ顔負けの作品もあり、試食する人々をうならせていました。
佐敷町の大地で獲れたトーガン、ダイコン、キャベツなどの農産物、眼下に広がる中城湾で捕れたタマンやタチウオなどが格安で売られ、人々を喜ばせていました。
産業まつりは、ふるさと佐敷を大きな視野でとらえ、見つめなおす1つの点となったのではないでしょうか。

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大分類 テキスト
資料コード 008436
内容コード G000000496-0002
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第79号(1983年12月)
ページ 2-3
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1983/12/10
公開日